米銀幹部に聞く欧州危機、世界経済、新興国ビジネスの動向--マイケル・M・ロバーツ シティバンク最高融資責任者

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 ただ、これはミクロ経済運営がかかわっており、政策の実施は難しい。もし対策がうまくいけば、経済は減速しても大きな問題は回避できる。万が一、バブルが破裂すれば、大幅な景気縮小は回避できず、その後の調整は大きな痛みを伴うことになろう。

--中国市場におけるシティの強みは。

外資であることは、中国でのビジネスで大きな制約が課せられる。事業拡大を図ろうとすると、逐一、当局の承認を得る必要がある。そのためには非常に時間がかかる。
 
 だが、当社は中国において外資系銀行の中で最大手であり、長い歴史を持っている。提供できる商品やサービスの豊富さをはじめ、中国における多国籍企業に対する取引ではナンバーワンだと自負している。

当社は中国でリテール(個人向け)バンクを行っており、企業の資金管理も多く手掛けているため、個人と企業の預金が多い。これは中国だけではなく世界中で言えるが、預金が大きい分、貸し出しの余力も大きい。特に新興国では銀行の健全性維持のため預貸率など当局の規制が厳しく、当社は比較優位にある(邦銀にはリテールがない)。

当社は、顧客が中国市場に参入する際に、中国での銀行口座開設から人民元建ての資金調達、資金管理などありとあらゆるお手伝いを行っている。また、中国企業が国際的に事業展開をする際に、当社がゲートウェー(橋渡し役)となってお手伝いをしている。当社の101カ国に及ぶ国際ネットワークがその基盤となっている。
 
 近年、中国企業はアフリカや南アメリカなどに積極的に事業展開しようとしており、そこでも当社がお役に立っている。

たとえば、中国の石油公社がナイジェリアやガボンなどで石油の採掘権を取得し、生産を始めるまでの、口座開設から資金管理、外国為替のエクスポージャー管理など幅広いサービスをしてきた。
 
 日本企業がかつて経験したのと同様、外国で事業展開する以上は、資金調達の手法も変えていかなければならない。中国企業が資産をドル建てで持つようになれば、負債もドル建てで持つ必要があり、米国市場で社債を発行する際には当社が引き受けを行う。中国企業のこうした国際展開はここ2~3年、急拡大している。

同様のアプローチをインドやブラジル、ロシアの企業に対しても取っている。たとえば、ロシアの天然資源関連の大企業がいま米国企業を買収しようとしており、当社はそのアドバイザーとなっている。

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