米銀幹部に聞く欧州危機、世界経済、新興国ビジネスの動向--マイケル・M・ロバーツ シティバンク最高融資責任者
ようやく解決に向けた局面に入っただけで、完全に解決されるまでには時間がかかるだろう。
--欧州景気はリセッションに入ると見るか。
その可能性はかなり高いと思うし、少なくとも欧州全体の成長率は来年にかけて1%未満になるだろう。最も体力のあるドイツでさえ、輸出の減少などソブリン(国家)債務危機の影響が目に見える形で出てきている。これは、かなりの悪影響が出る兆候だ。
■南欧への投融資は管理可能、ドル建て資金調達市場の混乱で競争優位に
--欧米の銀行の間では欧州での貸出債権などの資産を売却・縮小する動きが表面化しているが、シティグループではどういう対応をとっているか。
われわれはバランスシートの管理を厳格かつ慎重に行っている。確かに欧州の特に南部の国々におけるエクスポージャー(投融資額)は注意が必要だと思うが、今のところわれわれの欧州の資産を売却するという正式な計画を持っているわけではない。
すでに発表済みだが、これら南欧の国々へのエクスポージャーは十分に管理可能な水準に低下しており、今これをさらに引き下げなければならないと明確に言う状況ではない。
--逆に、他の銀行の売却資産を買い取る可能性は。
欧州での当社のビジネスに関係に重要な意味を持つ場合には買収はありうる。毎日、そうした適当な案件がないかは検討しているが、今、特に具体的な案件があるわけではない。
当社は今、欧州の顧客を積極的にサポートしており、最近では大手自動車メーカーのフィアット(本社イタリア)の大規模な資金調達の手伝いをさせてもらった。大手製薬会社のサノフィ(本社フランス)に対しても、サプライチェーンに必要な取引の手伝いをしている。
こうした顧客の資金調達のサポートはしているが、一方で当社のリスク・エクスポージャーの管理は十分慎重に行っている。
--昨今の欧州企業の資金需要の動向は。
当社に対する顧客の資金需要は高い。それは、顧客のほとんどが多国籍に事業を展開している大企業であり、業績好調であるため、欧州のこうした危機的状況の中でも手元流動性が潤沢で内部留保も十分にある。