新型セダンはフォルクスワーゲンを救うか ベンツの急伸で16年ぶりにシェア逆転?
その結果、VWの牙城だった国産車からの乗り換え客を取り込み始めている。
実際、今年上半期のシェア逆転劇も「『Aクラス』や『GLA』『CLA』といった小型の戦略車種が、新しい顧客層を開拓している」(メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長)ことが背景にある。
新型パサートがシリーズ史上最高の出足となったことで、「上位クラスの車種強化」という目論見については一定の成果があった。ただ、受注の内訳をつぶさに分析すると、セダンタイプとワゴンタイプの比率が4対6となっている。5対5を想定していた当初の販売計画と比べると、実際の売れ行きは使い勝手のよいワゴンタイプに支えられたものであることがわかる。
だが、ワゴンタイプのパサートはゴルフをはじめとしたハッチバックの延長線上にある車。これまで取り込めていなかったセダンタイプを求めるような客層には、相変わらず訴求できていないのが現状だ。
旗振り役が突如辞任
不安要素はほかにもある。これまで日本市場におけるブランドイメージ刷新の陣頭指揮を執り、7月の新型車発表会見でも「勝負は秋から」と熱弁を振るっていたVWJの庄司茂社長が7月31日、突如辞任したのだ。
会社側はその理由について、社長本人の意向と説明するが、詳細は定かでない。旗振り役を失ったことで、同社のブランド戦略も少なからぬ影響を受けそうだ。
新型車投入でアクセルを踏み、メルセデス・ベンツの背中をとらえるのか。それとも、戦略と現実の微妙なズレが災いし、このまま失速してしまうのか。15年間にわたってシェアトップを守り続けてきたVWの真価が問われている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら