成長する人は大体「不親切な本」に挑んでいる 「文字を追うのも苦痛」だから得られるもの

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普段「親切な本」ばかり読んでいませんか?精神科医・名越康文の公式メルマガ「生きるための対話」からお届けしています(写真:Syda Productions / PIXTA)

人生の中で「限界を超える」経験を時々しておくこと。これは、けっこう大切なことなんです。それは別に、周囲から評価されるようなことじゃなくてもいい。自分なりに何か、「限界を超える」テーマを持っておくのがいいんですね。

僕は以前、10分も正座できなかったのに今は30分を超えるぐらい正座ができるようになりました。これって、他の人からしたらどうでもいいことです。

でも、僕にとっては、この経験によって、たくさんの勇気をもらうことができた。自分の限界を超える体験っていうのは、勇気がふつふつと、湧き上がってくるものなんです。

限界を超える、といっても別に、めちゃくちゃきついことなんてやる必要はありません。例えば「とにかくゆっくり動く」なんていう、ちょっと変わったテーマにチャレンジしてみてもいい。

 時々「限界を超える読書」にチャレンジしよう

当記事はプレタポルテ(運営:夜間飛行)の提供記事です

目の前にあるコーヒーカップをとって口に運ぶというのは、普通だったら数秒でやってしまう動作ですよね。それをあえて、2分ぐらいかけてゆっくりとやってみる。たった数十センチ手を動かすということを、ゆっくり丁寧にやる。これもある意味では「限界を突破する」ということです。

この観点からみると、「読書」というのは非常におもしろいツールだと思います。というのも、本って、簡単なものから難しいものまで、一般的なものからマニアックなものまで、バリエーションが豊かですよね。

だから、ある人にとっては簡単に読める本でも、自分にとってはけっこう歯ごたえがあるということがいくらでもある。そうすると、どんな人でも、いくつになっても、「これを読めば私は自分の限界を超えられそうだ」と思える本というのはあるんですよ。

普段は自分が読みたい本、読める本を読んでいればいいんだけど、時々、「限界を超える読書」というのにチャレンジする。

古典とか、名作のリストを探れば、必ず自分の読解力とか教養では「ちょっと大変だな」と感じるような本を見つけられるでしょう。そういう本をいつも一冊、カバンに忍ばせておく。そして、気が向いたときにそれにチャレンジする。

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