成長する人は大体「不親切な本」に挑んでいる

「文字を追うのも苦痛」だから得られるもの

本のジャンルや時代、作家にこだわる必要はありません。ただ、強いて言えば、発行からある程度時間の経った本がいいでしょうね。歴史を重ねて生き残っている本や言葉には、力が宿っています。

歴史の淘汰を生き残る「力」というのは、決して「わかりやすい」ものには宿らないのです。誰にでもわかるものほど一瞬にして消え去り、多くの人がその真意を誤解してしまうような難解な本ほど、長く読み継がれる。

数学の世界では何百年も解けないような難問があるそうですが、人を成長させてくれる「名著」というのはそれに似ています。そこには別に、誰もがわかるような「答え」が書いてあるわけじゃない。だからこそ、読み継がれている。

自分が「枠に囚われていること」を知ろう

こういう「限界を超える読書」を習慣化しておくと、いろんな副産物が得られます。心が落ち着いて来て、だんだんと「人の話」を聴くのが上手になってくる。僕らは普通、他人の話の7割を聞き逃し、残りの3割を誤解してしまいますが、こういう読書に取り組むようになると、3割ぐらいは相手の話に素直に耳を傾ける、ということができるようになる。

自分の理解の枠組みを超えた「わかりにくいもの」にしっかりと長い時間向き合うように読む、という訓練によって、僕らは初めて、自分とまったく感性の異なる「他人の話」に耳を傾けることができるのです。

いくら本を読んでも、どんなに素晴らしい教授の講義に耳を傾けても、何一つ学ばず、まるで成長しない人もいます。そういう人は常に自分の枠組みの中でしか、人の話を聞くことができません。

もちろん、「自分の枠組み」を持たない人などこの世にはいません。誰だって枠はあるし、枠に囚われています。しかし、自分が枠に囚われているということを知っているか、知っていないか、どのような枠に囚われているかが見えているか、見えていないか、ということは大きな違いです。

自分がどんな枠に囚われているかということを知るのは、辛いことです。自分の偏狭さ、自分のちっぽけさに嫌気が指してしまいそうになることもある。しかし、その「苦しさ」をどれだけ感じているか、ということこそが、後々の大いなる解放に向かって学ぶことの価値なのです。

ぜひ、自分がわからない本を読みましょう。僕のカバンにはいつも、空海の本が入っています。たまにしか開きませんが、必ず、開くことは忘れないようにしたいと思っています。そうやって空海に挑むことこそが、僕を成長させてくれるという確かな実感があるからです。

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