低所得国の成長には、金融インフラの整備が不可欠--武田真彦・IMFアジア太平洋局次長

拡大
縮小


 したがって、いかに国内の貯蓄率を上げて、貯蓄を有効活用するかの視点が必要だ。加えて、外国からの開発援助、そして民間から資金流入によって、低所得国の成長が実現する。

--インフラの構築に向けた課題は何か。

採算に合わないリスクが高ければ、民間企業は参入してこない。そのため政府の保証が必要だ。IMFとしては、その結果、国への負担が増えすぎないよう、財政のバランスを見ている。

また低所得国では、農村部などで現金を貯め込んでいるケースが多く、それをいかに金融システムに取り込むかという課題がある。それに向けては、今回の会議では、低所得国では国有銀行の割合が多いため、今後は民営銀行を増やしたほうがいいなどの意見が出た。

銀行セクター以外では、資本市場の育成に向けた取り組みも必要となる。最近の例では、ラオスやカンボジアで証券取引所が設立された。ただし、新興国市場のように、証券市場が盛り上がった後、資金が流出して急落するケースがある。そうした不安定な状態をいかに防ぐかが課題となる。

(聞き手:許斐健太 =東洋経済オンライン)

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT