「虎に翼」モデル"三淵嘉子"大胆すぎるスキー事件 アクティブな嘉子のあだ名は「ムッシュ」だった
そして紫式部の父と同様に、嘉子の父・貞雄もやはり「この子が男だったらどれだけいいか」と妻のノブとこぼしていたという。
もっとも貞雄は、台湾銀行に勤務するエリートで「男女は平等であるべきだ」という思想の持ち主でもあった。
そんな父の「何か専門の仕事をもつための勉強をしなさい」という言葉に後押しされて、嘉子は法律を学ぶことを決意(過去記事「「虎に翼」のモデル"三淵嘉子"人生支えた父の一言」参照)。明治大学専門部女子部法科(3年制)へと進学を果たす。
「乃木坂スキー事件」で見せたアクティブさ
ドラマ『虎に翼』での伊藤沙莉演じる佐田寅子は、頭がよくて優秀なだけではなく、喜怒哀楽を隠さない人間味あふれる性格で、周囲から親しみを持たれている。
モデルとなった三淵嘉子も、そんな一緒にいて楽しくなるようなタイプだったらしい。明治大学専門部女子部に入ると、4人の仲良しグループで、神田の駿河台下あたりを散策しては、みつ豆を食べたり、書店巡りをしたりと、学生生活を満喫していた。
授業の合間に友人と東京YWCAのプールでひと泳ぎしてから、濡れたままの髪で授業に出て、居眠りをしてしまったこともあったとか。その一方で、料理学校にまで通っていたというから、少しでも時間があれば、じっとしていられないタイプだったのだろう。
学生時代の逸話として語り草になっているのは、何といっても「乃木坂スキー事件」だ。
東京で雪が降ると、その珍しさにテンションが上がったのか、嘉子は自宅に立てかけてあったスキー板をおもむろに持ち出した。
そして雨ガッパに身を包んだかと思うと、自宅の近所だった乃木坂をスキー板で滑り出したのだという。
突如、現れた謎のスキーヤーに驚いた警官から注意されるが、どうやって止まったらいいのかがわからず、嘉子はそのまま坂の下まで……。追いついた警官に散々に怒られたことは言うまでもない。
そんなアクティブすぎる嘉子に、つけられたあだ名は「ムッシュ」。男まさりの言動と名字の「武藤」にちなんで、そう呼ばれていたという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら