仮設住宅の住環境格差、寒さ対策を怠った宮城県、実施ゼロ%が並ぶ理由
台風で劣悪な環境が露呈
危機感を抱いた厚労省はPT会合に先立つ9月28日、寒さ対策について早急に措置を講じるように促す通知を仮設住宅を設置している各県の担当部局宛に送付した。同通知によれば、断熱材の追加や窓の二重サッシ化・複層ガラス化、玄関先への風除室の設置などの寒さ対策、通路や駐車場の舗装および排水用側溝の整備などについては、災害救助法に基づき国庫補助の対象となることを明記している。同法の仕組みにより、市町村の資金負担はわずかで済む。
もっとも、災害救助法に基づく支援措置は今回初めて盛り込まれたものではなかった。すでに厚労省は6月21日の通知でも暑さ寒さ対策の実施を促している。岩手県や福島県はこの前後の時期から、すでに対策に着手していた。その反面で、宮城県が大きく出遅れたのはなぜか。
岩手県や福島県では、仮設住宅の建設だけでなく、その後の追加工事に関しても県が主体的に対応した。これに対し宮城県は仮設住宅の設置者でありながら、その後の管理とともに増改築についても地元の市町に委ねた。
ところが、地震や津波の被害が大きく、職員確保すらままならなかった市町側では住民に対して、「原則として新たな追加工事はしない。住民側で増改築することも禁止する」という姿勢で臨んだ。そのうえで、雨漏りなど最低限の補修工事しか行わなかった。県と市町の役割分担もあいまいだった。
宮城県石巻市では、「夏場に大量発生したハエ対策として住民から要望が多かった玄関網戸の設置については、予算化して対応している」(仮設住宅運営管理室)というが、秋が深まりつつある現在もまだ未完了。