手作りスイーツが売り「新・ルノアール」の狙い 「意識高い系女性」をターゲットにした新業態

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銀座ルノアールでは、喫茶室ルノアールをよりカジュアルにしたCafe Renoir(2018年/5店舗)、郊外型でFC展開を狙ったミヤマ珈琲(2012年/4店舗)のほか、NEW YORKER'S Cafe(1999年/5店舗)、Cafe Miyama(2003年/2店舗)、瑠之亜珈琲(2015年/1店舗 ※2024年7月に閉店)などのさまざまな業態を開発してきている。立地や客層に合わせた出店を模索してきた結果だ。

確かにすべて喫茶業態なので、コンセプトをぶらさず、ブランディングをしっかり行わなければ客にとっては違いがわかりにくくなってしまいそうだ。

他店と比べて価格は?

では、銀座ルノアールが大きな期待を込めて打ち出した新業態、アリーヌカフェの実力はどうだろうか。

私見だが、空間へのこだわり、商品品質や価格という面でバランスがよいと感じた。昨今では滞在時間15分程度のセルフサービスの店でも、ちょっとした軽食だけで1000円を超えてしまう。

それに対し、くつろげる空間づくり、グラタンとドリンクのセットで1280円からという価格は、同じようなほかのチェーンと比べても十分競争力を持つのではないだろうか。筆者の属性がブランドのターゲット内に収まっており、店舗のスペースや雰囲気を重視するほうなので、余計そう感じるのだろう。

ちなみに価格をほかのフルサービスの店と比べると、コメダ珈琲店のチーズカリーグラタン「夜コメプレート」が1040〜1100円、星乃珈琲店の「窯焼きスフレドリア」がドリンク付きで1300〜1400円前後(店によって異なる)、珈琲館の「特製ナポリタンランチセット」が1310円だ。

バジル香るサバとトマトのグラタン(950円)。パン、ライスを選べる。サバとパンの組み合わせは意外だが「サバサンド」の例もあり好相性(撮影:大澤誠)

なお、アリーヌカフェの強い武器となっているのが、提供スピードの速さだ。グラタンや焼き菓子などは普通時間がかかるものだが、同カフェでは、少なくとも取材時は10分以内で提供され、待たされるという印象はなかった。宮下氏によると、スチームコンベクションという調理器具を初めて導入したことも、その理由の一つだそう。

スチームコンベクションとはオーブンに蒸気発生装置を備えた器具で、複数の調理法が可能。多くのメニューをスピーディに調理できる、ボタンを押すなどの簡単な操作で調理できるなどのメリットがある。機械を導入するために広い厨房スペースが必要とのことで、出店場所を選ぶ。例えば既存店を業態転換する場合にはネックになるだろう。

銀座ルノアールではアリーヌカフェのこれまでの実績を踏まえ、営業時間やメニューについて検討していくが、メニューバリエーションについては拡充が決まっており、各カテゴリーにおいて期間限定商品や新商品を導入していく予定だ。

ルノアールのよい伴侶として広く認められる存在になりうるのか、今後の展開が待たれる。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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