手作りスイーツが売り「新・ルノアール」の狙い 「意識高い系女性」をターゲットにした新業態
こうした経緯を踏まえたうえでの、新業態オープンとなった。アリーヌカフェには、どのような期待が込められているのだろうか。
銀座ルノアールで新しい業態を担当するCエリアスーパーバイザーの宮下祐一氏は「アリーヌカフェは喫茶室ルノアールに次ぐ、第2の柱として成長させたい」と説明する。
「ターゲットは30〜60代女性で、中でも、モノよりは時間やコトを大切にする“意識が高い系”だ。喫茶室ルノアールの主要客層は30〜50代男性なので、ちょうど正反対。つまり従来の業態では取り込めなかった層を補うブランドとして、新業態は設計されている」(宮下祐一氏)
ルノワールの妻の名前をブランド名に冠したのにも、「メイン業態の喫茶室ルノアールを支える存在」との意図が込められているのだ。
第1号店は府中となったが、これはちょうどタイミングが合ったということのよう。戦略的には、銀座、表参道の立地や商業施設内など、これまでの業態では出店できなかった出店地を狙っていく。
府中も閑静な住宅地を抱え、住民のほか、買い物や観光目的の集客も見込める。アリーヌカフェの前に入っていたのも同じカフェの倉敷珈琲店であることからも、喫茶店の需要はあると考えられた。
府中店での反響と課題
実際、オープンがゴールデンウイーク直前だったこともあり、予想の1.3倍程度の客が来店。「オープン特需」と言える状況だったそうだ。
ただしその後3カ月を経て、課題も見えてきた。まず目標客単価には現状では届いていない。手作りスイーツやグラタンを注文する客が8割程度になることを見込んでいたが、実際は6〜7割程度だからだ。
また、現在は以前のテナントである倉敷珈琲店の営業時間を踏まえ、午前7時〜午後10時(月〜土)に設定したものの、朝と夜の客数がそれほど多くなかった。
「朝に活動されるのは近隣の高齢者で、このブランドのコンセプトは刺さらないのではないか」(宮下氏)
確かに、アリーヌカフェのコンセプトである南仏はのんびりとしたイメージで、早朝や深夜のアクティブな活動とはそぐわないように思える。
上記を踏まえ、営業時間の見直し、早朝・ディナータイム対策、新メニュー、販促等などについて検討中だそうだ。
「ただし安易にコンセプトをずらしていって失敗した過去の反省もあり、慎重に見極める必要があると思っている」(宮下氏)
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