手作りスイーツが売り「新・ルノアール」の狙い 「意識高い系女性」をターゲットにした新業態

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第1号店の立地として選ばれたのは府中駅の駅ビル「ぷらりと京王府中」1階。ゆったりと座席スペースを取り、内装はナチュラルな優しい雰囲気でまとめられている。

看板メニューはクラフティ。写真は季節のクラフティ(いちごのクラフティ)にホイップクリームとバニラアイスのトッピングを組み合わせたもの(1000円)。提供期間は7月末まで(撮影:大澤誠)

看板メニューが南仏の郷土菓子「クラフティ」。牛乳と卵を使った生地にフルーツをのせ、オーブンで焼き上げたスイーツだ。

プリンとチーズケーキの中間のような「とろっ」と口の中で溶けていく食感が特徴的。自然な甘みに、焼いたフルーツの濃厚な味わいが合わさって、手作りの温かみが感じられるスイーツに仕上がっている。

今回は夏季で冷たいものを選んだが、温かいものにアイスクリームをトッピングするとなお楽しめそうだ。

アプリコットとピスタチオのクラフティにアイスクリームをトッピング(850円)。アプリコットの甘酸っぱさに、ピスタチオのちょっとクセのある味とカリカリ食感がユニークな組み合わせ(撮影:大澤誠)

期間限定の季節のクラフティのほか、果物を変えたものやチョコレート生地にしたものなどメニューは全8種類だ。価格は単品で850円から、セットで1180円からとなっている。

そのほか、食事としてはグラタンが看板メニュー。グラタンと言ってもピラフやパンの上に具材をのせ、オーブンで焼き上げたものなので、ボリュームも十分ある。

コーヒー1杯で長時間居座れる喫茶店

銀座ルノアールはなぜ、このような新業態を立ち上げたのだろうか。

まず銀座ルノアールの基本情報についてまとめておこう。1号店「ルノアール日本橋店」は1964年にオープン。運営会社の社名を銀座ルノアールとしたのは1971年だ。

コロナ禍前までは首都圏を中心に全業態で約120店舗を展開しており、うち約100店舗を占めるメイン業態は「喫茶室ルノアール」。「都会のオアシス」をコンセプトに、ゆったりした雰囲気の中でくつろぎの空間を提供する。

駅近にあり、コーヒーを1杯頼んで長時間居座れるタイプの喫茶店というとわかりやすいだろう。

カフェチェーンはスターバックスやドトールのような、セルフサービスの店が店舗数を伸ばしているが、喫茶室ルノアールは従業員が席まで商品を運ぶフルサービスの店。

同じ形態をとっているチェーンではコメダ珈琲店や珈琲館、星乃珈琲店などがある。1号店のオープン年、現在の店舗数はそれぞれ1968年/1004店舗、1970年/208店舗、2011年/279店舗だ。

喫茶室ルノアールが店舗数では少ないのに知名度が高いのは、都心、駅近の目立つ場所に店舗を構えていることや、歴史の長さに由来するのだろう。

ただ、都心のアクセスのよい立地、コーヒー1杯で長時間滞在できるフルサービスのお店という特徴が、コロナ禍では不利に働いた。都心から郊外へと人流が移り、またテイクアウトにもうまく対応できなかったため、20店舗近くが閉店になったのだ。

これらの打撃に対抗するために同社ではさまざまな模索を行った。例えば手作りパンの「BAKERY HINATA」出店、シャトレーゼとのフランチャイズ契約による出店などだ。

なお現時点ではコロナ禍の影響から回復を果たしてきており、出店を加速。都心型の喫茶室ルノアールの店舗数も増え、2023年度の売上高も73億5100万円(前年同期比12億6600万円増)となっている。

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