「抗生物質未使用」鶏肉が米国で増えるワケ 日本は遅れをとっていないか?

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パーデューは鶏肉大手としては初めて、販売する鶏肉の半分以上が「抗生物質をまったく使用していない」と記して販売できる(写真:Jeremy M. Lange/The New York Times)

広大なパーデュー・ファームズの敷地内にある第三孵化場の床にはシミひとつない。これまでにドアはつけ直され、温度管理と換気のシステムも改善された。すべて、空気汚染の可能性を最小限にするためだ。

ここには毎週150万個の卵が届き、その卵がやがては同社の鶏肉となるのだが、卵もやはり清潔だ。かつてはよく付着していた糞や羽は、その影すら見えない。孵化するまでの21日間、卵が置かれる場所は過酸化水素で毎日消毒され、21日の間、人間の手が卵に触れることはない。

パーデュー・ファームズ抗生物質を使用せずに育てている(写真:Jeremy M. Lange/The New York Times)

パーデューは約10年間かけて、抗生物質を一切使わずにニワトリを育てるこのシステムを完成させた。そして現在、同社は転機を迎えている。パーデューが販売する鶏肉の半分以上が、「抗生物質をまったく使用していない」と記して販売できる製品になったのだ。鶏肉会社としては初めてのことだ。

CEOがCM出演、「抗生物質不使用」を強調

競合のタイソン・フーズやフォスター・ファームズは、人間に効果を発揮する抗生物質を、自社の鶏肉事業から排除しようとしている。マクドナルドやチックフィレイ(チキンに特化したファーストフード・チェーン)などの顧客企業が、それを求めているからだ。しかし、タイソンやフォスターは、人間には使われない抗生物質の「イオノフォア」は使い続けている。そこで、パーデューは新しい広告でこの点を示唆した。

広告では、創業者の孫であるCEOのジム・パーデューが、「同業の企業の中には、今後数年間で抗生物質の使用を減らそうと計画しているところもあります。ですが、あなたは今夜の夕食には何を食べますか?」と問う。この時、「抗生物質をまったく使用していない」同社の鶏肉が示される。

鶏の感染症対策として、ワクチンの準備を行っている(写真:Jeremy M. Lange/The New York Times)

タイソンの広報担当者によると、同社は抗生物質の使用は最小限にしているという。「協力企業などともに、抗生物質の代替となるものについて研究している。しかし、それが入手できるようになるまでは、イオノフォアは今のところ使い続ける計画だ」。広報担当のゲイリー・ミケルソンはこのように話す。彼は、「マーケティング上の理由で、動物の健康に関して妥協するつもりはない」とも言う。フォスター・ファームズにもコメントを求めたが、返答は得られなかった。

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