「抗生物質未使用」鶏肉が米国で増えるワケ 日本は遅れをとっていないか?
抗生物質は、家畜の成長促進や病気のコントロール、およびコストの削減などのために、長い間用いられてきた。しかし近年では、公衆衛生の専門家らが、抗生物質、特に人間の医薬品に用いられる抗生物質を使って育てられた動物の肉を食べることに懸念を表明している。抗生物質に対する耐性が生じる可能性があるからだ。
天然資源保護協議会で食料・農業プログラムのディレクターを務めるジョナサン・カプランは、イオノフォアが人間の健康を脅かすという科学的な証拠はほとんどないと言う。それでも、パーデューの展開により鶏肉業界のハードルが上がったとキャプランは話す。
「パーデューは、これまで業界内でニッチなものだった製品を主力製品とした。これは業界にとっては大きな出来事だ」。
抗生物質にもいろいろあると知ってほしい
ジム・パーデューは、競争の軸を変えようとしているわけではないと主張する。新しい広告は、抗生物質について消費者に知ってもらい、パーデューの製品を競合企業の製品と区別してもらうためのものだと言う。
「抗生物質については混乱も多く、もっと明らかにする必要がある。ジャーナリストが『人間に使用される抗生物質』などと書いたとき、それが何を意味するのか消費者はよくわかっていないと思う。たとえば、ほかにはどんな抗生物質があるのか、知っているだろうか」。
答えはイオノフォア。動物に使われるが人間には使われない抗生物質だ。成長を促し、病気を予防し、コストを下げるために使用される。
実際のところ、アメリカで合法的に「抗生物質不使用」と表示できる食肉は、人間用の抗生物質もイオノフォアも、両方とも使わずに育てられた動物の肉だけだ。多くの鶏肉会社は、その基準に合う製品を少量製造している。たとえば、タイソンには「ネイチャーレイズド・ファーム」というブランドがある。しかし、現在のところ、同社の鶏肉売り上げ全体の中で同ブランドが占める割合は、広報担当者によると「小さい」ということだ。