トヨタ、販売台数が不調でも最高益のワケ 理由は円安効果だけではない

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第1四半期の販売台数が前期をやや割り込んだトヨタ。しかし、利益面は依然として右肩上がりを維持している。

トヨタ自動車が8月4日に発表した2015年度第1四半期(4~6月)決算の営業利益は前年同期比9.1%増の7560億円、純益は10%増の6463億円。いずれも第1四半期として過去最高だった。

ただ、販売面は芳しくない。北米こそ好調だったものの、国内は子会社ダイハツ工業の軽自動車が不振で、海外は東南アジアや中近東、ロシアなどで軒並み販売台数が減少。この結果、グループ総販売台数(持ち分法適用の中国を含む)は250.2万台と前年同期比で1.1万台落ちた。ライバルの独フォルクスワーゲンは同じ期間に世界で255.2万台を売っている。

それでも、前年同期から対米ドルで19円もの円安が利益を押し上げたほか、お家芸の原価改善を徹底。労務費や研究開発費、品質関連費用が増える中でも最高益をたたき出した。

オポチュニティは為替

2015年度の通期予想は、販売台数の見通しを5万台上方修正したことから、売上高を27兆8000億円へと従来から3000億円引き上げた。アジアや中南米、中近東の販売は不振だが、日本や北米、ロシアを除いた欧州の伸びで補えると見ているからだ。

加えて、想定為替レートは第1四半期の実績を反映させ、ドルを115円から117円に、ユーロを125円から127円に、それぞれ円安に見直したことによる増益要因がある。一方、中国やロシアで販売費が増加する可能性があることや、労務費や品質関連費用なども膨らむと見ており、利益面は当初の計画を据え置いた。

「(上方修正の)オポチュニティがあるとしたら、7月以降はドル115円、ユーロ125円で見ている為替。また、原価改善の努力、販売面の努力で少しでも達成できるようにしたい」と、4日の決算会見で大竹哲也常務役員は力を込めた。

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