「認知症とお金」早期治療・ケアで必要な金額は? 300万円の新薬の「メリット」は?専門家に聞く

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

医療費の負担を補う存在として、民間の医療保険やがん保険が思い浮かぶかもしれない。入院1日あたりいくら、「●●(病名)と診断されたときにいくら支払われる」といった保険商品だ。

認知症のインフォーマルケアコストを補うニーズがあるからか、レカネマブのような高額な薬の登場を見越したのか、近年、複数の保険会社が「認知症保険」を発売し始めた。

ざっくりといえば、ある認知症保険では月額2000円ほど(50歳男性の場合)の保険料で認知症と診断されれば一時金(100万円)が支払われる。

前出の藤田さんは、「実際に経験していますが、介護が必要になる前、診断されたときから経済的にダメージを受けます。そこをカバーして、暮らしの負担を減らせるような保険があったらいいなと思います」と話す。

そのうえで、「多くの会社が参入して、契約者が保険商品を比較して選べるようになればいいですね。認知症になっても、自分らしく暮らしていけることをサポートする保険ができて、若い人にも備えてもらえるようになってほしいです」と期待する。

経済的負担が減れば家族も安心

2年ごとに予防給付金を支払い、早期発見のための検査に活用できるような仕組みの保険商品もある。

「認知症に早く気がつくことは大切です。そのメリットを得られるためにも、自分らしさや暮らしやすさが確保され、経済的にも安心できる状況をつくる必要があります。認知症になっても経済的負担が減るとなれば、本人はもちろん、家族の安心にもつながります」(藤田さん)

認知症のケアにかかる費用を分解していくと、インフォーマルケアコストという水面下の費用が浮かび上がってきた。認知症の人が増えていくなか、そのぶんをどう賄うか、国民的な議論が必要だろう。

少なくとも、個人レベルでできることは何なのか。後編では、認知症が中等度、高度と進行した場合にかかる費用や、認知症に備えていくら用意すればよいかを紹介する。

佐賀 健 メディカルライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さが たけし / Takeshi Saga

製薬会社で医療機関向けの営業職として勤務した後、出版社で医薬専門紙の取材・編集に携わる。2015年に独立してフリーに。読者が「ちょっと気になるこの症状」「聞いたことがあるあの病気」について専門家に取材し、ウェブ、新聞、雑誌に執筆している。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事