投資「元本割れ」のリスク低減に最も効果的な要素 「リスク20%、リターン年率5%」の例で簡単解説

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高井宏章(以下、高井):資産形成のシミュレーションをしてみて痛感するのは、やはり投資の最大の味方は「時間」だということ。時間軸でリスクを回避するという観点は、資産運用をするうえで非常に重要ですね。

宇都宮徹(以下、宇都宮):すごく簡単にいうと、リターンよりもリスクのほうが(発生する)確率が低い、しかもその確率の差は、時間が経つほどに広がっていく、ということです。

「元本100万円」「リスク20%」「リターン年率5%」の場合で考えてみましょう。シミュレーション図を見ていただければわかる通り、25年も経てば元本割れのリスクはほぼなくなります。

(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

高井:「リスク20%」で「リターン年率5%」というのは、日本株は大体こんなもんだといわれている数字ですね。

宇都宮:はい。で、そのリスクというのは「標準偏差(データの値が平均値からどれくらいばらついているか)」であり、簡単に言い換えると「ブレ幅」なんですね。

「すごく有利なサイコロ」と考えよ

高井:「この範囲内で収まりますよ」という幅が、ちょっとプラス側に寄っている。その積み重ねで考えれば、一時的にはマイナスになるかもしれないけど、長い期間をかけていれば、ずっとマイナスになり続ける確率はだんだん減ってくるということですね。

この点が長期投資の最大のメリットだと思います。ただちょっとわかりにくいので、私は説明するときに、「すごく有利なサイコロを振るようなもの」という例えを使っています。

「1、2、3」と「-1、-2、-3」の目で構成されているサイコロをずっと振っていれば、そのうち平均値はゼロに近づきます。この数字が全部1つずつ上だったら。つまり「1、2、3」の目に加えてたまに「4」が出て、あと「-1、-2」の目がある。そんなサイコロなら、繰り返し振っていれば、そのうちプラスになりますよね。

若い時から30年かけて長期投資をすることは、このサイコロを30回振れること、あるいは30個一気に振れることと考えてもいい。全部足したらプラスになるでしょ?ということです。

これが年齢を重ねてからの短期間の投資だと、もうあと3回しか振れないよ……みたいな状態になるわけです。

宇都宮:投資期間が短くなるほど、まさにギャンブル的になりますね。

高井:若い人のほうがいっぱいサイコロを振れるので、まずそれだけで有利だと認識すること。あともう1つ大事なのは、「期待値」の考え方ですが、きちんとプラスのサイコロを選んで投資することですね。

宇都宮:4、5、6しか出ない、カ○ジ(に出てくるサイコロ)みたいなやつに(笑)。

高井:(笑)。でも投資の世界にマイナスが出ないサイコロはないので、「100回振ったらちゃんと得をしそうだ」と思えるところにお金を置いておく。これが重要かなと思います。

「宝くじでも当てない限り『億り人』なんて無理じゃないの?」。1億円の資産形成と聞いて、そうイメージする人がほとんどだろう。しかし月5万円、条件によっては月3万円からの積み立て投資によって、1億円は作り出すことができる。
動画では、週刊東洋経済「1億円を目指す 資産運用大全」の内容を基に、実現できそうな1億円資産形成の「10ケース」をじっくり紹介する。
※※本動画は2024年6月に収録したものです。
制作:鈴木研一郎
高井 宏章 経済コラムニスト / YouTuber

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たかい ひろあき / hiroaki takai

1972年生まれ、名古屋出身。1995年、日経新聞入社。マーケット、資産運用などを長く担当。2016年からロンドンに2年駐在し、2020年から退職まで編集委員を務めた。日経在籍時は電子版やYouTubeの「教えて高井さん」の動画解説で親しまれ、キャスターとして「日経ニュースプラス9」にも出演。「高井浩章」名義で出版した『おカネの教室』は10万部超のロングセラーに。Twitter、noteで経済にとどまらず、書評や教育論など幅広い情報を発信している。

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宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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