奇跡?劇的に清潔になる中国「トイレ事情」 あの悲惨なトイレがついに変わる?
だから今、まさに中国のトイレが激変し、日本人の目から見ても「かなりきれいになった」と思えるようになったことは大変な変化だ。中国社会に何か地殻変動が起きているのではないかとさえ感じた。
それはなぜなのか。むろん、経済成長の恩恵が背景にあるだろう。昨年の中国のGDP成長率は約7・4%。高度経済成長の時代は終わり、「新常態」(ニューノーマル)という安定成長期に入っているが、高度成長は止まっても、ソフト面はむしろ逆で、じわじわとよくなってきている。
日々の生活にゆとりが生まれ、人々は単にモノを買うだけでなく、より品質のよいものを求めるようになった。また、生活の質が向上し、家庭内をきれいにしたり、快適な生活を求めたりするようになった。豊かな生活の象徴こそ、トイレという日陰の存在に集約されているのではないか、と思った。
だからこそ、経済力がついた彼らはあんなにも日本に行って高品質な商品や便座を求めたのであり、ようやく中国人が「汚くて当たり前」だったトイレに気を配り、改善しようとする余裕が生まれた、といえるかもしれない。
急速に売り上げを伸ばすTOTO製
その証拠は随所に現れている。TOTOの中国法人、東陶(中国)董事・総経理の深澤徹氏に話を聞いてみると、やはり、同社の温水洗浄便座「ウォシュレット」も、この1~2年、急速に売り上げを伸ばしているという。とくに今年1~3月は前年同期比で3割増しというほど顕著に伸びている。
「以前から中国市場で当社の『ウォシュレット』への関心は高かったのですが、今年の日本での爆買いでさらに中国人の間の認知度が上がった気がします。中国人は友人の紹介やクチコミを重視しますので。認知度アップとクチコミが相乗効果となり、一気に臨界点を超えたことが、今の売上増につながっているのではないかと思います」(深澤氏)
昨年の中国の高級温水洗浄便座市場は約40万~50万台と推定されるが、その中で同社は約30~40%のシェアを占めているようだ。同社の売れ筋商品は、低価格品だと2000~2500元(約4万~5万円)だが、約5万元、日本円にして100万円程度する最高級品である「ネオレスト アクティライト」も月に2~3台売れているという。これは、便座の一部に金色や銀色のラインが入っていて「高級感漂うところが富裕層に人気」だという。
また、今年7月、同社は日本国内の一部の免税店でも中国仕様の220ボルトの温水洗浄便座を販売し始めた。
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