アップルは自動車の最先端技術を"盗む"のか

BMWを悩ます「プロメテウス物語第2章」

ギリシャ神話のプロメテウスはゼウスの反対を押し切って天界にある火を盗み出して、それを人類に与えた神だ。

「シリコンバレーのプロメテウス物語」とは、アップルがMacintoshを発売するまでのストーリーを指している。1979年のある日、アップル共同創立者のスティーブ・ジョブズ氏は世界初のマウス操作のグラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) とビットマップ画像が開発されたゼロックスのパロアルト研究所を訪問。ジョブズ氏はここで重要なアイデアを得て、5年後にMacintoshを発売した。

今回明らかになったBMWライプツィヒ工場訪問でも、アップル幹部は重要なアイデアを得ただろう。そうなると、まさにシリコンバレーのプロメテウス物語の再現が起きるわけだ。ちなみに、プロメテウスはタイタンの神々のうちの1神だが、アップルの自動車プロジェクトの名称はタイタンとみられている

しかし、これが第2のプロメテウス物語となるかどうかを判断するには時期尚早である。

BMWは次世代自動車の開発には通信とソフトウェアの専門家からのより多くの情報提供が必要なことに気づいた。アップルはiPhoneを超える新しい市場機会を模索する中で、電気自動運転車の開発方法の研究を続けてきた。

人事異動が意味していることとは?

ところが同視察以来、BMWのトップに入れ替えが起こっている。5月にCEOに指名されたハラルド・クルーガー氏は、こうした新規プロジェクトに携わるよりも、年末までに彼の独自チームが独自計画を構築する道を選んだと、彼の考えを良く知る人物がロイターに語った。

さらに複雑な事態は、アップルとの最初の対話で指導的な役割を果たしたBMW開発担当取締役のヘルベルト・ディース氏の離脱である。彼は12月にフォルクスワーゲンへと鞍替えしている。

ディース氏は、本稿に対する直接のコメントを控えた。彼は軽量カーボン・ファイバーを用いて、デザインと生産にまったく新しい手法を用いた「i」自動車の開発を監督した人物である。

今、自動車技術は、自動運転車のプロトタイプを開発したグーグルから電気自動車メーカーのテスラ・モーターズまでシリコンバレーの企業から最も注目される分野になってきている。こうした中にあって、ディース氏は、「ドイツ自動車業界は急進的変革を起こす必要がある」と語る。消費者からはさらに高性能のインテリジェントカーが求められ、公害抑制のための数々の規制により次世代自動車はますます低排出のハイブリット自動車や電気自動車になるからだ。

2030年、自動車生産の時間尺度ではわずか2世代の新車に対応する年数の間に、従来型の内燃エンジンだけで駆動する自動車はわずか3分の1となる、と専門家は予測している。

「1つ目の重要なことは、2周期後には私たちの工場はエンジン生産の3分の2を停止するということです」と、ディース氏は昨年7月にパネルディスカッションの場で発言した。新しい電気自動車のバリューチェーンはすでにシフトを始めており、自動車バッテリーは主にアジアで生産されているとも付け加えた。

「2つ目は、自動車はインテリジェントなものになり、インターネットの一部になるということです」ディース氏は続けた。「この分野での有力プレイヤーは米国の、ソフトウェア開発分野にあります。私たちはこの領域では間違いなく提携企業を見つける必要があります」。

高級車の未来の形成という点に関して、ドイツは新規参入業者に対して引けを取らないと証明するのに残された時間は2年である、とディース氏は語った。

BMWなどの自動車メーカーはすでに次世代の自動運転車を開発した。この車には、進行方向で起きた事故が分かった場合、ルートを再予測できるようにするため高解像度地図の形式でソフトウェアの恒久的アップデートが必要となる。この技術は大規模な商用利用を許可する法的基準や取締規則よりも速いスピードで前進している。

今年これまでに、BMWの新しい研究開発チーフのクラウス・フローエリック氏は、BMWとアップルには多くの共通点があると語った。例えば両社とも高級ブランディングに焦点を当て、製品の進化と美的に魅力的なデザインセンスを強調している。

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