三菱、「アウトランダー」で異例の大幅改良 なぜ発売から2年半で着手したのか
三菱自動車は、2013年1月に投入した主力モデルのプラグインハイブリッド車(PHV)「アウトランダーPHEV」に大幅改良を施し、7月から発売する。相川哲郎社長が「発売から2年半ほどでの大幅改良は当社としても異例」と話す。
改良の目玉はデザインで、フロントグリルは従来とは似ても似つかないものになっており、「このデザインを順次、ほかの新型車にも広げていく」(相川社長)としている。2014年の社長就任当初から言及していた「ブランド再構築」を推し進めるうえでも、大胆なデザイン変更は重要なカギを握る。ほかにも内装も高級感を出すよう取り組んだという。
欧州市場の手応えと対策
今回の改良で三菱が意識したのは、アウディやBMW、ボルボといった欧州の高級自動車ブランドだった。というのも、2014年度のアウトランダー PHEVの世界販売3万5000台のうち、約7割を欧州が占めており、欧州メーカーのワゴンやSUV(スポーツ多目的車)から乗り換える顧客が多いためだ。
こうした顧客の動きは海外でのブランド浸透にはまたとないチャンスであり、「今後欧州の高級ブランドがPHVを出してくるのに対応しなければいけない」(相川社長)との考えから、早いタイミングでの大幅改良に至った。
欧州市場で一段の攻めに出る一方、国内販売の低迷という課題は解消できていない。市場の縮小スピード以上に台数が落ちており、シェアはこの10年でほぼ半減。直近、月によってはシェアが2%を切っている。
大幅改良後のアウトランダーPHEVの国内販売目標(2015年度中)は月販1000台。年間では1万2000台の計算となり、昨年度の8600台から4割増の拡大ペースを見込むが、シェア回復の原動力としては力不足だろう。
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