統合基幹業務システムからインメモリデータベースへ--震災後も高成長が続くSAP日本法人・安斎富太郎新社長に聞く
だが、オーガニックな部分は変えない。この会社のルーツであるERPも2ケタ成長が続いており、周辺分野としてHCMやCRMなどがある。さらに最新技術を投入した「HANA」があり、モビリティの分野がある。さらに、これを個別企業対応のオンプレミス(自社運用)とするのか、クラウドに載せるのか。多様な選択肢を用意することで販路も増やすことができ、パートナーとの事業機会を増やすことができる。
インメモリデータベースは、分散並列処理により、以前のシステムで17時間かかった大量のデータ処理を数秒で処理できる。全取引をそのつど処理できるので、レジやATMなどのバッチ処理やバックアップが不要になり、ハードの投資や運用のための人件費も下げられる。「HANA」はオープンなシステムで、サーバーや既存のデータベースとの親和性などの制約がない点も特長だ。
エネルギー管理ソリューションなど、震災後に注目された製品もある。
--BCPの観点から、クラウド化の流れが強まっているようです。
それでもすべてがクラウドにはならない。メールシステムのようなものと、コア事業のアプリケーションは分けて考えられると思う。
--成長率から見て、日本のマーケットはアジアに後れを取っています。
SAP全体での日本マーケットの位置づけは、グローバルの中では5%、アジアパシフィック圏では25%程度だが、注目度は高い。ソフトを利用する深度・質の高さや、インメモリデータベースなどの新しい技術への先見性、使い方の理解とアイデア、そして製品への要求度の高さなど、他のエリアではなかなかない。