巨費投じプロミス買収、三井住友FGの真意
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が、約20%出資する消費者金融大手プロミスを完全子会社化すると発表した。10月18日から11月30日まで公開買い付け(TOB)を実施。さらに、プロミスが12月に行う約1200億円の第三者割当増資も引き受ける。2012年4月をメドに100%子会社にする予定で、投じる資金は最大約2000億円に上る。
SMFGが完全子会社化を具体的に検討し始めたのは今年8月。背景にあったのは、プロミスの業績改善が見込めるとの判断だ。近年、消費者金融会社の経営を圧迫していた顧客からの過払い利息返還請求は減少傾向にあり、新規顧客数も増加に転じている。
プロミスの12年3月期業績は、9月末に1800億円の利息関連引当金を積み増したため、1954億円の純損失となる見通し。だが、増資によって経営体質は強化される。増資資金は既存の借入金や社債の返済費用に充てられる予定で、資金調達コストの低下にもつながる。
消費者金融をめぐる環境の変化もある。業界に混乱を巻き起こした、借入総額を年収の3分の1までに制限する総量規制の導入(10年6月)や武富士の経営破綻(10年9月)から1年が経過。これらの影響が収束に向かっているのを見極めて、攻勢に出る決断を下した。
バーゼル�も引き金か
理由はそれだけではない。SMFGの背中を押したとみられるのが、近く導入が予定される新たな国際自己資本比率規制(バーゼル�)だ。
バーゼル�の下では、銀行(金融持ち株会社)がグループ会社に出資し少数株主持ち分を得ていた場合、連結決算上、グループ会社の資産は全面的に反映される一方で、資本は反映されない。つまり、完全子会社化しないかぎり、親となる銀行(金融持ち株会社)は、自己資本比率低下の圧力を受けかねない。SMFGが消費者金融事業を積極化させ、プロミスの資産拡大を目指すのであれば、この問題は無視できなかったはずだ。