「世界から遅れている」日本の新薬開発3つの問題 コロナワクチンでも露呈、解決には何が必要か?
海外では、メガファーマがAI創薬を行うベンチャーを巨額で買収し、迅速に新薬を市場に送り出す流れも生まれている。初めからメガファーマに買収されることを視野に、研究開発に取り組むベンチャーも少なくない。
何より、メガファーマが組む相手はベンチャーだけではない。スイスを本拠地とするノバルティスはIBMやIntel、Microsoftと、イギリスのグラクソ・スミスクライン(GSK)はAmazonといったITのビッグカンパニーとも連携している。
豊富な医療データと高度なIT技術、そして潤沢な資金を武器に、メガファーマによる創薬の実装化が強化されているといえる。
日本のAI創薬に「富岳」利用
では、日本のAI創薬に希望がないかというと、「そんなことはない」と伊藤氏は言う。
日本のAI創薬が世界で戦うために必要なのが、伊藤氏らが進めている一般社団法人ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)の取り組みだ。
「富岳創薬DXプラットフォーム」もその1つ。スーパーコンピューター富岳を用いて、海外メガファーマの百倍規模にあたる数十億の化合物をふるいにかけ、創薬のターゲットとなる化合物を探し出し、世界初の「大規模ネットワークデータベース」を構築する狙いだ。
ほかにも、AMED(日本医療研究開発機構)が産学連携で進めるDAIIAのようなプロジェクトもある。製薬企業17社が所有する情報を、利害関係が発生しないようにAIに学習させることで、海外のメガファーマに負けない創薬を目指す。
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