中高年リスキリングを待ち受ける「3つのリスク」 定年後、ホワイトカラーの仕事に就けるのか?

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定年後の生活資金に余裕がある方が、社会への継続参加を目的とした就労を志す場合は、給与低下についてはそこまで問題にならない可能性もあります。

しかし、定年後の生活資金を維持するために働かなくてはいけない場合、著しい給与低下が見込まれる分野で働き続けるには、生活コストを下げる、仕事を掛け持ちする、といった対策を講じる必要が出てきます。

デスクを以外の場でITを活用する

特に、3つ目の低賃金については、個人の意思とは関係なく、社会全体として考えていかなくてはならない課題ですが、私が今注目しているのが「デスクレステクノロジー」と呼ばれる分野への投資です。

ここ数年、新型コロナウイルス感染症による影響もあり、リモートワークができる職種へのデジタル分野の投資は大幅に進みました。

その一方で、机に向かって仕事をしていない現場で働く職業(デスクレスワーカー)への投資は、相対的に遅れているといえます。このデスクレスワーカー向けのデジタル技術は「デスクレステクノロジー」とも呼ばれていて、例えば、倉庫での棚卸しをスマホ片手に行えるようにする技術などがこれにあたります。

今まさに、この分野へのテクノロジー投資を進めていくことの重要性が明らかになってきていています。

『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』書影
『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

例えば、すでに介護ロボットなどの技術が知られていますが、現場での導入は思うように進んでいるとはいえません。その原因をここで分析することはしませんが、課題があるということは、そこにビジネスチャンスがあるということでもあります。

今後そのような分野への投資がさらに進み、課題解決が図られていけば、定年後の気力や体力の低下をテクノロジーで補いながら、働き続けることが可能になっていくかもしれません。

また、そのような取り組みによって生産性が向上すれば、利益率が改善し、エッセンシャルワーカーの処遇改善につながっていくことも期待できます。

加えて、個人としても、リスキリングを通じてデジタル分野の知見を身につけ、特にこのデスクレステクノロジー分野に精通することができれば、エッセンシャルワーク分野で働くデジタル人材として、今までとは異なるタイプの労働移動を実現できるようになるかもしれません。

後藤 宗明 一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事  SkyHive Technologies 日本代表

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ごとう むねあき / Muneaki Goto

1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士銀行(現みずほ銀行)を経て米国で起業。帰国後、米国のフィンテック企業の日本法人代表などを務めたのち、2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を行うリスキリングプラットフォームSkyHive Technologiesの日本代表に就任。「日本をリスキリング」するため、石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所 客員研究員を歴任。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。

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