これらのオンライン予約システムでは決済が完了すると、列車の指定だけでなく席番まで決まったチケットがPDFで送られて来る。それを自宅のプリンタで出力し、乗車時に持参すればよい。国によってはスマートフォンのアプリにデータを取り込んで、それを車掌に見せればOK、という事例もある。
だから彼らの常識からしたら、旅行の予定が決まり、日本でのスケジュールが固まって来たら「そろそろシンカンセンのチケットでも買ってみようか……」と考えても少しも不思議ではない。ところが切符が事前に買えないのだからストレスが溜まるわけだ。
そして「みどりの窓口」はガイジンさんたちで大混雑
日本政府観光局(JNTO)は先に、今年上半期(1〜6月)の訪日客数が前年同期比46%増の914万人に達したと発表した。今後も、「円安傾向と継続的な訪日旅行プロモーションの展開、航空路線の拡大などで訪日外客数がさらなる増加数が期待される(JNTOプレスリリースより)」。
しかし、日本のビジネスマンたちにとって頭が痛い問題として、「訪日客の急激な増加による、ビジネスホテル宿泊費の急騰」が挙げられているが、この夏はさらに「JR主要駅のみどりの窓口」の行列に悩まされた人も結構いるのではないだろうか。
本稿でも先に紹介したように、訪日客の多くは全国どこへでも行ける周遊券「ジャパンレールパス(JRパス、とも)」を持って旅行している。パス保持者は、有効期間中の列車指定券なら、自由に欲しいだけもらうことができるが、必ず有人窓口に並んでパスを見せ、交付を受けなくてはならない。その結果、「日本の地理がよくわからない外国人」と「ほぼ日本語だけで対応するJR職員」との長時間の攻防が続くという光景があちこちの駅でみられたようだ。特に、外国人に人気の宮島を控える広島駅では、「行列のうち、半数以上がパスを持つ訪日客だった」という目撃情報も寄せられている。
おそらく、ジャパンレールパスという商品は、「訪日客がまばらだったころ、欧米人がたまに使う程度」という想定だったのではないかと予想するが、最近ではこのパスで「のぞみ」に乗れない訪日客が「ひかりの指定席車」にたくさん乗っている、という光景が普通になってしまった。「ガイジンさんがいっぱい並んでいるので、指定券を買うのに時間がかかって困る」。そんな嘆きが一般の利用者から聞こえて来そうだ。
JRパス保持者向けのJR全社統一の外国語によるオンライン予約システムでも整備したら、インターネットのリテラシーが高い個人訪日客たちはスマホでさくっと指定を取って列車に乗り込むだろうから「みどりの窓口」での行列も解消する。
訪日客への「おもてなし」の水準を高めるなら、英語のアナウンスや各国語の看板設置に注力するだけではなく、予約システムの見直しを積極的に図ってほしい。その結果、一般旅客への利便性も高まると思うのだが、いかがなものだろうか。
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