東京エレクトロンを襲う「スマホ減速」の試練 統合破談後の単独成長に向けて波乱の船出
パソコン需要の低迷に苦しむインテルは、当初、15年12月期通年での設備投資額を95億~105億ドルと予測していた。しかし、4月にはその見通しを82億ドル~92億ドル、さらに7月16日の第2四半期決算では72億~82億ドルへと切り下げた。
TSMCも、15年当初は115億~120億ドルの設備投資を予定していたが、第1四半期終了後に105億~110億ドルへと予定を切り下げた。第2四半期決算に際しては、「スマートフォン需要が想定より鈍化した」(マーク・リュウ共同CEO)として、15年の半導体市場の成長率を当初見通しの5%から3%へ修正している。
このような環境の変化を受けて、東京エレクトロンも下方修正を余儀なくされた形だ。しかし、攻めの姿勢はいまだ崩さない。「売り上げ予測はある程度保守的に見ているが、われわれとしてはシェアを上げる好機とみている。そのための仕込みを色々としているところだ」(東社長)。
シェア向上へ技術開発も市場動向次第
実際、洗浄装置とエッチング装置では、13年時点で19%だったシェアを14年時点でそれぞれ25%、26%へと向上させている。技術開発を進めることで、19年時点ではここからさらに、それぞれ10%のシェア向上を掲げている。
また、来期については、次世代技術である3DNANDや10ナノメートル級の量産が本格化することに伴う買い替え需要を想定し、「ポジティブに考えている」(河合利樹COO)。エッチング装置では一部顧客での装置採用認定をすでに獲得しており、3DNANDについても「特定の顧客に関するコメントは避けるが、顧客と会話する範囲では期待できる」(河合COO)としている。
東京エレクトロンは、米国アプライドマテリアルズとの経営統合破談を受け、アプライドなしでも単独での成長が可能であることを強調してきた。7月10日に発表した新中期経営計画では、市場規模(半導体前工程製造装置)が現状(335億ドル)から縮小した場合(300億ドル)と拡大した場合(370億ドル)の2つのパターンが想定されているが、いずれの場合においても増収増益を達成することを目標にしている。
300億ドルに縮小した場合には、売上高7200億円、営業利益率20%、ROE15%を目指す。一方、市場規模が370億ドルに拡大した場合には、売上高9000億円、営業利益率25%、ROE20%が目標となる。アナリストからは、「300億ドルよりも市場規模が縮小する可能性はないのか」、「計画そのものを見直すべきではないか」といった、厳しい質問が相次いだ。中長期での単独成長の成否は予断を許さない状況だ。
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