東京エレクトロンを襲う「スマホ減速」の試練 統合破談後の単独成長に向けて波乱の船出
「7月10日に発表した中期経営計画を、是が非でも達成したい」。
7月28日に行われた東京エレクトロンの第1四半期決算発表で、開口一番、東(ひがし)哲郎社長は決意を口にしたが、同時に発表されたのは今2016年3月期業績の下方修正で、スマートフォン需要減速の影響を考慮した結果だ。株式市場にはネガティブサプライズとなった。
通期業績見通しは売上高を期初の6750億円(前期比10%増)から6450億円(同5%増)へ、営業利益を1120億円(同27%増)から950億円(同8%増)へ引き下げた。経常利益段階までは修正後も前期からの増収増益を見込むが、増益幅が大きく縮小する見通しだ。また、当期純利益は、税平常化により前期718億円から58億円減の660億円を見込み、一転減益見通しとなった。
株式還元には意欲的
配当については、7月10日に配当性向を従来の35%から50%へ切り上げる方針を発表し、一株あたり中間93円・期末129円の合計222円と期初予想の計155円から増額していたのだが、今回の業績修正を受け、中間配当105円・期末配当83円の合計188円とした。15年3月期の年間配当143円から比べれば増配となる。自己株式の取得も機動的に行うとしている。
第1四半期の決算はなお好調だった。売上高は1557億円で前年同期比3%の微増にとどまったものの、営業利益は同77%増の302億円を計上。営業利益率も15年3月期第1四半期の11%から19%へ向上した。スマートフォンやデータセンター向けのDRAM、NANDフラッシュメモリ需要が好調で、メモリメーカーの設備投資が続いた。また、同業首位の米アプライドマテリアルズとの経営統合が破談となったことで統合関連費用が消滅したことが、営業利益を押し上げた。
それにもかかわらず通期見通しの下方修正に踏み切った背景には、大手半導体メーカーの失速がある。半導体製造装置業界は、世界の半導体設備投資の6割以上を占める米インテル、韓国サムスン電子、台湾TSMCという”ビッグスリー”の動向に大きく左右される。
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