日本のビッグマック450円は「安すぎる」意外な訳 安価でおいしい食事を楽しめるのも日本の魅力

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2021年から2023年にかけて、日本・円は急速に円安が進みました。「円安」とは、対ドルなど他の通貨に比べて円の価値が下がる状態を指します。

これは1つの商品に限った話ではありませんが、他の商品やサービスも同様に安くなる傾向があります。この安さは外国からの旅行者にとっては大きなメリットで、リーズナブルな価格で美味しい食事を楽しめるのも日本の魅力の1つとなっています。

もちろん、価格が安いからといって品質が低いわけではありません。

日本では、食品や商品の製造段階から環境への配慮が欠かせません。品質と環境への取り組みを両立させることが、日本の商品において当たり前の価値となっています。

日本の安さはビッグマックの価格だけでなく、日本での暮らし全体にも表われています。製造業やサービス業において、日本は独自の方法で生産性を高め、効率を向上させてきました。これが、商品を手頃な価格で提供できる要因となっています。

特に、公共交通機関の利便性や治安の良さ、教育の充実など、価格以外の要素も含めて、日本が提供する暮らしの豊かさには目を見張るものがあります。

安さの背後にあるさまざまな価値

「安いニッポン」は価格だけではなく、その背後に広がるさまざまな価値が魅力です。

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工夫と技術の結集、環境への取り組み、そして価格だけでない暮らしの充実感。価格の裏に隠れたこうした価値に気づき、日本の魅力を改めて感じてみてください。

とはいえ、日本が賃金上昇をともなう経済成長に失敗した結果、現在のような「安いニッポン」になったことも確かです。

2022年時点でアメリカ、中国に次ぐ世界第3位だった日本の名目GDPが、IMF(国際通貨基金)の予測で2023年にはドイツに抜かれて第4位に転落するというニュースもありました。

実質GDPの成長率をみると、日本が長い間、高い成長を遂げていない状況は確かであり、同じIMFの予測では、日本は年々著しい成長をみせているインドにも2026年に抜かれて第5位になる見通しとなっています。

日本の経済成長率が高まらなければ、今後はこういった新興各国にも抜かれていくでしょう。

ビッグマック指数は、単なるハンバーガーの価格比較以上の意味を考えることができ、その背後には国の経済構造や文化が反映されていると言えるのではないでしょうか。

帝国データバンク 情報統括部

1900年創業、全国に83の事業所を持つ民間信用調査会社最大手。1700人の調査員を抱え、現地現認による調査活動や情報収集で200万社の企業信用調査報告書データを蓄積。保有データを基に市場調査、マーケティングサービスや経営支援コンサルティングなども行っている。情報統括部は、長年にわたり蓄積してきたデータベースとノウハウ、そして全国に広がるネットワークを活かし、業界動向、景気動向などを独自の知見を交えて広く社会に発信している。主な著書に『コロナ倒産の真相』(日経BP)、『地元の力を生かす「ご当地企業」』(中央公論新社)、『百年続く企業の条件』(朝日新聞出版)など。

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