スキマバイト「タイミー」が上場、27歳社長の素顔 時価総額1000億円超「ユニコーン」に導いた手腕
リクルートとも不思議な縁がある。タイミーがサービスを開始した半年後。小川はリクルート現社長である出木場久征(49)の訪問を受けた。
当時の出木場は、自ら買収を主導したアメリカのIndeed社のCEO。日本滞在は2日間というタイトなスケジュールの合間を縫ってタイミーを訪問した。出木場の感度の高さと、スポットワークというビジネスへの関心がうかがい知れる。
小川は意気込む。「人手が余っていた時代に江副(浩正)さんが、学生起業家としてリクルートを作った。人手不足というパラダイムシフトが起きた令和にタイミーが生まれた。リクルートの求人マッチングでなく、タイミーはオンデマンドでHR(人材領域)を制覇したい。ワクワクしている」。
コロナ禍を経て利用業態が広がる
「大企業もスポットワーク領域に関心があったが、コロナ禍で本業が大変になり新規事業にまで手が回らなかったのでは」。今年に入ってスポットワークの参入企業が増えた背景を小川はそう分析する。
コロナ禍は伸び盛りのタイミーにとっても試練となった。創業来、月次売上高が初のマイナスに転じ、採用をストップ。クライアント事業者の8割近くを飲食店が占めていたが、激減してしまった。
打開策としてターゲットにしたのが、ステイホーム需要に沸く物流領域だった。物流チームを発足させて、大手クライアントには専任担当をつけるなど試行錯誤で開拓を進めていった。スーパーなど小売業も増えた。
「創業時は飲食やイベントが対象領域と思っていたが、コロナ禍で業態を増やすことができた。今後は介護や保育、製造業を開拓したい」。小川は抱負を語る。
業績も成長軌道に戻り、2022年10月期は売上高62億円、最終利益2.5億円と初の黒字化を達成。人手不足を追い風に2023年10月期は売上高161億円、最終利益18億円へと跳ね上がった。正社員数は約930人の大所帯となり、過半が地方の支社・支店で働いている。
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