スキマバイト「タイミー」が上場、27歳社長の素顔

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スポットワーク市場の拡大は、企業の副業解禁も後押ししている。とくに物価高を受けて、2022年頃から生活費を補う目的でスポットワークを利用する人は増加傾向にある。企業の残業削減のトレンドも影響し、タイミー利用者の2割超を会社員が占める。

タイミーが支持を集めた理由の1つが、給与の即日払いだ。バイト代をその日のうちに遊びに使う学生もいれば、その日の生活費に充てるワーカーもいるなどさまざま。スポットワークを「貧困ビジネス」と指摘する声も聞かれる。

これに対し小川は「タイミーでの働き方が便利だから選んでいただいているだけで、押しつけているわけじゃない。嫌な仕事に派遣されるわけではなく、アプリ上で評価の高い会社や、自分の周辺で働く場所を選ぶのでまったく違う」と強く否定する。そして「タイミーだからこそ、こんな幸せな生活になったという方々をどんどん生んでいきたい」と力を込める。

タイミーのワーカーの属性

オーナー経営者としてのこだわり

上場後も小川は株式19%強を保有する大株主だ。

持ち株比率については「生みの親でオーナーだけど、そこまで気にしない」と言う。「経営者として株主にどう判断されるのかが大事。仮に追い出されたら経営者として資質がなかったということで、そうなれば新しい会社を別に立ち上げるだけ」。飄々と答えた。

この考え方には、学生起業家のロールモデルとして尊敬するサイバーエージェント社長の藤田晋(51)をはじめ、複数の先輩経営者のアドバイスが影響しているという。小川の結論はこうだ。「時価総額1000億円の会社で株式50%を持つより、1兆円で10%のほうが大きい」。

サイバーエージェントの藤田は、創業間もないタイミーに出資した株主であり、メンター(助言役)でもある。上場について「藤田さんからは『自分の見る目は間違ってなかった』と喜んでいただいた。当時はよくわからなかったけど、まあでも面白そうだなと思ったそうです」と小川は笑った。

上場すれば、タイミーを取り巻くステークホルダーは一気に増える。これからライバルも攻勢をかけてくる。スポットワークのパイオニアは株式市場の期待に応えることができるのか。ユニコーンとしての上場は通過点に過ぎない。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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