スキマバイト「タイミー」が上場、27歳社長の素顔 時価総額1000億円超「ユニコーン」に導いた手腕

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組織が急拡大する中、学生起業家である小川の役割も変わっていった。

1000人規模で5階層となった組織をマネジメントするうえで、権限委譲やビジョン作りを実施。月2回の全社員集会でビジョンを共有・浸透させつつ、活躍する社員が全社員の前でプレゼンする機会を毎月設けた。離職率を抑え、急拡大しても「壊れない組織作り」にコミットした。

並行して、本流である新規事業立ち上げでも陣頭指揮を執り続けた。今年2月に開始した「タイミーキャリアプラス」は、キャリア相談や資格、免許取得などのリスキリング講座を受けることができる。長期就業を望むワーカーと、人材を採用したい事業者を結びつけることが目的だ。物流・ホテルなど導入事業者が増えている。

タイミー小川代表
おがわ・りょう/1997年生まれ。立教大学経営学部卒。高校生の頃から起業に関心を持ち、リクルートやサイバーエージェントなどでインターンを経験。2017年8月にアパレル関連事業を立ち上げるも1年で事業転換。2018年8月からスキマバイトアプリ「タイミー」のサービスを開始(撮影:尾形文繁)

昨年10月には「バッジ機能」も導入した。よい働きをしたワーカーに対し、事業者が管理画面上で業務を認定するというものだ。飲食店の「ホール」「洗い場」「調理」など特定業務でバッジを獲得すると、待遇や時給がよくなる仕組みとなっている。

小川は「キャリアプラスとバッジ機能は、会社の儲けとは関係ない。スポットワークのリーディングカンパニーが金儲けだけ考えていると、2番手、3番手も同じような仕組みになり、それが世の中の評価となる」と語る。そのうえで「働き手が働きたい環境を作れる会社がいちばん強い。これは思想だからマネできない」と胸を張る。

“大人たち”との絶妙な距離感

タイミーの成長戦略は明快だ。今後はホテルや介護、保育、製造業など人手不足に悩む業態への参入を進める。並行して、日本全国の市町村へインフラとして浸透することを見据えている。

すでに地方自治体や地方銀行との連携が進む。社員の平均年齢は30歳という若い会社だが、「地元出身のメンバーたちが支社コミュニティに属し、商工会に加入したり地域の祭りに協賛したりするなど地域に密着している」(小川)。

小川自身も、先輩経営者やクライアント企業のトップたちとの交流を大切にしている。「一年365日のうち340日は毎食会食。ゴルフにも行く」と笑う。株式上場を控えて、機関投資家らとの交流がさらに加わった。

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