MIXI、苦闘続く「モンスト頼み」脱却への高い壁 かつての教訓生かすも、いまだ売上の7割を依存

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もう1つ、収益柱へと期待を寄せるのが、子どもの写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」。2015年にサービスを開始し、利用者は2000万人以上にのぼる。そのうち約4割が、北米を中心とした海外だ。

課題は商材の拡充による収益力強化だ。「みてね」は、写真や動画のアップロードは原則無料で、写真の一括ダウンロードなどができる月額課金制のプレミアムプランや、写真プリント、GPSによる見守りサービスなどで稼ぐビジネスモデルだ。「みてね」を中心とするライフスタイル事業は、海外での広告宣伝費負担もあり、赤字が続いている。

写真プリントは海外でもニーズが高い一方、現地での印刷や配送の体制は簡単に拡大できるものではない。今後は利益率も高く海外での展開も容易なデジタル系の商品ラインナップを拡充したうえで、課金率・購入率も高めていく必要がある。

ヒットを生み出せない根因

そもそもMIXIが長らくヒットするサービスを生み出せていない背景には、イノベーションの不在がある。

SNSのmixiもモンストも、PCやガラケー、スマホなどデバイスの変化の波に乗ることで急成長を遂げた。この10年間で画期的な新たなデバイスの登場がない中で、「(成長を見込む事業に対して)人的リソースや資金の選択と集中をやりきることができていなかった」(木村社長)。

木村社長は次のイノベーションの起爆剤としてAIを挙げる。「オンデバイスAIによってハードウェアの買い替え需要が起こる機運が高まってきている。私たちにとってもターニングポイントになるのではないかと期待しており、AIを活用して(サービス)開発するよう大号令をかけている」。

MIXIの株価は2017年に記録した過去最高値(7300円)と比べると、半分以下の水準にあるものの、5月の中期方針発表後に急伸し、4年ぶりの高値をつけた。

今度こそ「一本足」の収益構造から脱却し、持続的な成長を描けるか。市場からの期待は高まっている。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

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