MIXI、苦闘続く「モンスト頼み」脱却への高い壁 かつての教訓生かすも、いまだ売上の7割を依存

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そこで5月に新たな戦略として掲げたのが、インドをはじめとした新興国での展開だ(インド進出の詳細を語った木村社長のインタビューはこちら)。

現在、モンストのユーザーのほとんどは国内だ。海外展開も試みたが、2020年までに北米や中国などから撤退し、現在は台湾、香港、マカオのみと苦戦している。

MIXIの木村弘毅社長
MIXIの木村弘毅社長。モンストのインド進出の勝算などを語ったインタビューはこちら(撮影:今井康一)

木村社長は市場規模の大きい北米や中国からの撤退について、「北米ではPCで遊ぶ文化が出来上がっていた。中国ではテンセントのプラットフォームを活用してインストールを促したが、身近な友人を誘って一緒に遊ぶ環境を作れなかった」と反省する。

インドではスマホの普及とともにスマホゲーム市場が拡大し始めているが、日本のように完成度の高いゲームは多くない。その中でモンストを流行させ、国内と同じように友人と一緒にスマホゲームで遊ぶ文化を醸成できるかどうかが重要になる。長期的には、インドを皮切りにアフリカや南米など新興国での拡大も狙う。

モンストに並ぶ柱はいまだ不在

一方、積年の課題である「モンスト一本足」からの脱却も急務だ。

モンストを中心としたスマホゲーム関連事業(デジタルエンターテインメント事業)は現在、全社売上高の7割を占める。SNSのmixiの”オワコン化”の教訓から事業多角化を目指してきたが、モンストに並ぶ柱はいまだ生まれていない。

2015年にはチケット転売サイト「チケットキャンプ」の運営会社を115億円で買収したものの、商標法違反の疑いによる警察の捜査や高額転売への批判を受けて、2018年に閉鎖した。

現在、次の柱として育てているのはスポーツ事業だ。傘下にはプロバスケチーム「千葉ジェッツ」やプロサッカークラブ「FC東京」を持つ。

ベッティング分野では、2019年に競輪車券のインターネット投票サービスのチャリ・ロト、競馬総合情報メディアを運営するネットドリーマーズを相次いで買収。2020年から運営を開始した競輪予想や投票ができるライブ動画アプリ「TIPSTAR」は、2024年3月期に通期で黒字化を達成した。

今後の成長のカギは、巨大なベッティング市場が形成されている海外での展開だ。前期には、オーストラリアで子会社の現地法人が日系企業で初めてベッティングのライセンスを取得し、サービスをリリースした。しばらくは投資が先行する見込みで、厳しい競争環境の中でシェアを獲得できるかがポイントだ。

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