「平気でウナギを食べる人」が知らない資源の実態 ウナギをいつまでも食べ続けるためには

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成長乱獲が起きて大不漁となっているケースは、サバ、ノドグロ、イカナゴなどをはじめ後を絶ちません。わが国ではこの悪循環が、「海水温上昇や外国が悪い」と責任転嫁されることが普通になっています。国際的常識と乖離していて、水産資源管理についてあまり理解されていないことも大きな問題です。

ウナギを大量に買い付けた結果

かつて中国で大量に加工して日本に輸出されていたヨーロッパウナギ、ニホンウナギ、東南アジアで獲れるビカーラ種、アメリカで獲れるロストラータ種(準絶滅危惧種)など、世界のウナギの資源は、大半が絶滅危惧種になってしまっています。

その背景にあるのは、日本での大きな需要と高値でウナギを仕入れる購買力です。乱獲で資源が減って、養殖に使うシラスウナギの価格が高騰し、さらに少なくなった資源を獲り尽くして絶滅危惧種にしてしまうという悪循環が止まりません。

ウナギの資源が枯渇状態から回復できない理由の1つに密漁があります。国は水産流通適正化法により違法水産物に対する罰則の強化を図っていますが、シラスウナギは2025年から対象となります(3年以下の懲役または3000万円以下の罰金)。

現時点ではそれよりも罰則が甘く、これでは犯罪の抑止力も限定的です。日本は、漁業に対する罰金が非常に低く設定されています。皮肉なことに、欧米をはじめ資源管理に厳しくて水産業を成長産業としている国ほど、規制も罰則も厳しいです。

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