ヴィレヴァン300店巡って見えた「品揃えの失敗」 「遊べる本屋が魅力」を失った本質的な要因
もともとヴィレヴァンは、各店舗の店長や店員に商品の仕入れや売り方を任せる、いわゆる「権限委譲」を行う企業だった。だからこそ、その店の独自性が担保され、エッジの効いた世界観にもつながっていた。
しかし、2012年に「POSシステム」を導入したことで変化が生まれる。
ヴィレヴァンのPOS導入について調べると、「商品の売れ行きを見て、品揃えを反映して、より儲かるようになった」とする記事もあれば、「POSの導入が品揃えをつまらなくした」とする記事もあり、見解はさまざまだ。
しかし、日本全国さまざまなヴィレヴァンを見てきたヴィレ全さんによると、疑問に思うことも少なくないようだ。
「どの店舗に行っても、かき氷機が売れ残ってるんですよ。それで聞いてみたら、『これは商品本部が送ってきたものだ』と。一番売れそうな、沖縄県の店舗でも売れ残っていたので、需要のない商品なんでしょうね。
他にも『沖縄に冬物のアパレル商品が送られてくる』とか『湿気の多い日本海側の店舗に加湿器が送られてくる』などの話も聞きました」(ヴィレ全さん)
地域柄、売れるわけがないものまで統一で送られてきて、ほこりをかぶってしまうということも多いということらしい。
「最近ではまた権限委譲が戻りつつあるらしいんですが、コロナ禍で仕入れがいったんストップしたのを機に、商品本部が送る商品を各店で売る、という時期もあったようです。結果、大量に残ったのが、『オタク』カルチャーのグッズや、YouTuberなどのグッズだったようです。
そういった話を聞いてると、『本部と現場の足並みが揃っていないな』と感じますよね。1週間前に、『来週セールをやる』と言われて、現場が混乱することも少なくないようです」(ヴィレ全さん)
実は利益追求集団(?)なヴィレッジヴァンガード
しかし、ヴィレヴァンといえば「カルチャー」を売りにしている企業で、利益追求については、そこまでこだわりがないようにも映る。「来週セールをやる」という言葉はあまり似合わないような……ここ最近で企業風土が変わったのか?
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