ヴィレヴァン300店巡って見えた「品揃えの失敗」 「遊べる本屋が魅力」を失った本質的な要因
「私はむしろ逆で、ヴィレヴァンが『サブカル』の地位を押し上げたのが原因なのではないかと思っています。サブカルを全国に広めることによって、メインストリーム化し、普通のものになっていった。
もともと、消費者はヴィレヴァンに対して『未知のもの』を求めていたと思うんですよね、それがなくなってしまったのが、今の苦境を生んでいるのではないでしょうか」(ヴィレ全さん)
ヴィレ全さんが高校生の頃、ヴィレヴァンで衝撃を受けたのは、「廃墟探索」というジャンルがこの世界にあることだったという。
「高校生ぐらいの頃、ネット発信ではやったんですけど、ホテルや遊園地の廃墟に無断で侵入してそれを2ちゃんねるにアップする、みたいなアングラ文化だったんです。それをヴィレヴァンが扱ったことで、いまや廃墟探索はすっかりオーバーグラウンド化しました」(ヴィレ全さん)
ヴィレヴァンが提供していた「未知のもの」が、だんだんとなくなっていった。ネットの普及などの外部要因ももちろんあるが、ヴィレヴァン自身が推し進めた「イオン出店」は、そのような側面も生み出したのかもしれない。
「サブカルの図書館」という強みを生かす
ただし、ヴィレ全さんは、イオン出店、ひいては郊外・地方にヴィレヴァンが広がることを肯定的に捉える。
「僕は、地方にあるヴィレヴァンは守るべきじゃないかと思っているんです。極端ですけど、国がお金を出してでも。地元の雇用の問題もありますが、何よりサブカルチャー文化の“図書館”的な存在としてあるべきじゃないかと思うんです。
僕は、滋賀県の田舎のほうに生まれて、ヴィレヴァンでサブカルというものを知りました。ヴィレヴァンに育てられてきたともいえます」(ヴィレ全さん)
こうした意味で、「地方展開」にこそ、ヴィレヴァンの一つの企業としての価値があるのではないかと言う。
実際、都心での展開はやめて、地方に注力する、という舵の切り方は、企業のストーリーとしてはラディカルで面白いかもしれない。無印良品を展開する「良品計画」なども、最近は地方への出店を加速させているし、都心にこだわるよりも筋がいいように感じる。
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