FRBによる利下げ開始への期待などを背景に、アメリカの長期金利は7月に入り4.2%付近まで低下した。
株式市場では前週の後半こそやや波乱となったものの、S&P500種指数は史上最高値を更新、7月16日には終値で5667ポイントをつけるなど、年初時点の市場参加者の予想レンジのほぼ上限まで達している。経済の安定成長が続き、インフレが落ち着けばFRBの政策発動余地が増えるので、現在のような株高が続くのは自然だと筆者は考えている。
大型ハイテク株が下落しても、米国株のリスクは限定的
一方で、2024年のこれまでの米国株の上昇は、生成AI向けの半導体市場で独り勝ちを謳歌している、エヌビディアを中心とした、いわゆる大型メガキャップ(時価総額が極めて大きい)銘柄の株高で多くが説明できる。「生成AIという技術革新」への漠然とした期待が株式市場で広がる中で、一部企業の株高が際だっており、ITバブル崩壊直前の1999年や2000年の状況と比較される。
確かに、米国株市場の一部ではバブルの領域まで株高が起きていることから、短期的にはこうした大型メガキャップ企業の個別要因などで、株式市場全体が調整する場面はあるだろう。ただ、逆にいえば、米国株式市場の上昇率は、ハイテク銘柄を除けばかなり控え目とも言える。
アメリカ経済が安定成長する中で、企業業績全体の利益は堅調な推移が予想されることから、まだ出遅れ感が強い小型株などでは株高の余地があるだろう。冒頭で紹介した4月末時点もそうだったが、もし大型メガキャップ株やハイテク株が下落しても、同国の株式市場全体の基調を変えるリスクは限定的であり、割高になったこれらの大型株の調整があっても、株式市場全体にとっては押し目買いの機会になるだろう。
今後の金融市場を考えるうえでは、11月5日に控える大統領選挙に対する思惑が材料になりそうだ。7月13日にはトランプ氏に対する銃撃事件が起こり、そして21日にはバイデン氏が大統領選挙からの撤退を表明するなど、選挙を巡る情勢は変わりつつある。
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