中国の自動車輸出、拡大続く中にも変化の予兆 EUの追加関税の打撃で上汽集団の輸出が減少

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上汽集団とは対照的に、2024年上半期の輸出台数を最も大きく伸ばしたのが比亜迪(BYD)だ。同社はエンジン車を生産しておらず、EVとPHVだけで20万7000台を輸出。メーカー別の輸出台数ランキングで第5位に食い込み、前年同期との比較では2.6倍と突出した成長を見せつけた。

BYDは中国からの輸出拡大と同時に、海外の複数の国で完成車工場を建設している。6月末には中央アジアのウズベキスタン工場で現地生産した第1号車がラインオフ。7月4日には東南アジアのタイ工場が竣工した。

BYDは海外に完成車工場を続々と建設している。写真は7月に開催したタイ工場の竣工式典(同社ウェブサイトより)

ほかにも南アメリカのブラジルで工場を建設中で、2024年末の生産開始を目指している。東欧のハンガリーでも工場の建設計画が進んでおり、7月8日にはトルコ工場の建設も発表した。

(訳注:ハンガリーはEU加盟国であり、トルコはEUと関税同盟を締結している。両国でEVを生産すればEUの追加関税を回避できるとみられる)

BYDはブラジル市場を深耕

EUの追加関税の影響は、中国製EVの輸出先の変化からも見て取れる。中国海関総署(税関)の通関統計によれば、2024年1月から5月までのEVおよびPHVの国別輸出先は南アメリカのブラジルが最大となり、ヨーロッパのベルギーを上回った。

(訳注:ベルギーにはヨーロッパ最大の自動車荷揚げ港があり、そこで上陸したクルマがヨーロッパ各国で販売されている)

ブラジルは輸入乗用車に対して35%の高関税を課している。しかしEVは関税が免除され、PHVの関税も優遇措置が得られることから、(EVとPHVを得意とする)中国メーカーにとっては大いに魅力的な市場だ。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

中国勢の中でもブラジル進出に前のめりなのがBYDだ。前述した現地工場の建設とともに、ブラジル国内の販売網の拡大に積極投資している。

ブラジル電気自動車協会のデータによれば、BYDは2024年1月から4月までの間にブラジル市場で2万台以上のEVを販売し、4割を超える市場シェアを獲得した。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は7月10日

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