「四季報丸写し」が会社員人生に与える驚きの変化 300社やれば絶大な効果を発揮

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ーー個別銘柄だけでなく6~7ページの「業種別業績展望」も重要だとか。

たぶんほとんどの人が見ていないと思いますが、この冒頭の2ページは非常に重要です。書き写している企業が、業界平均と比較して良いのか、あるいは悪いのか、ということを意識することが大切です。

あともう1つ、個別銘柄ページ以外に重要なものがあります。それは広告です。四季報にどのような会社が載っているのかをちゃんと把握してほしいと思います。

四季報に広告を載せるっていうことは、経営者がそうとう自信を持っているはずです。これから業績がガタガタになるのであれば、そんなところに広告を載せている場合じゃないので。広告を出している会社を写経してみると面白いと思います。

時間と量の積分値は大きな武器になる

ーー継続の大切さも説いていますね。

シニアにあって、若者にないのは、長い歴史と過去の経験です。しかし、これも四季報写経を過去から行うことで、過去の経験とデータを一気に得ることができます。皆さんの先輩方が蓄積したデータを全部栄養分として吸収できるのです。

そして、継続することが大切です。差別化というものは基本的に時間と量の積分値。積分値となった差別化というものには、そう簡単に追いつけないので、本当に強いのです。

ーー株式投資にも役立つと思いますか。

絶対に役立つのですが、私自身にはちょっと苦い経験があります。15年ほど前に、持続的に成長を続けるに違いないとの仮説を立ててアスクルやモノタロウ、10年前は米国四季報も写経していたので、AMD、NVIDIAなどの株式を購入したことがあります。PCはインテル、携帯はクアルコム、AIや自動運転はNVIDIAと仮説を立てました。2015年のドリームインキュベータのセミナーで発表もしました。ところが、上がり始めてしばらくすると、欲にまみれてすぐに手放してしまいました。

株価が少し上がり始めると、どうしてもこのくらいで利益を確定させてしまいたい、と考えてしまいます。今振り返ると、AMDやNVIDIAは本当に惜しい魚を逃したな、と思います。四季報写経によって強い仮説を持つようになれば、自分を信じて少なくとも10年くらいは握り締めないとダメなのでしょう。

でも、それがけっこう難しい。本家の般若心経を毎日写経することで、欲に負けない精神力を鍛えないといけないのかもしれません。

山田 俊浩 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事