小田急「宿泊体験ツアー」なぜ開成駅だったのか 参加者だけでなく乗務員もうれしい企画の裏側

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小田急には運転士や車掌が拠点とする喜多見、大野、海老名、足柄の4つの乗務所、新宿の出張所のほか、経堂や相武台、片瀬江ノ島など9カ所に宿泊所(外泊地)がある。そのなかで、なぜ開成の宿泊所をツアーのコンテンツとして選んだのか。

小田急電鉄の担当者、運転車両部技術員の新井友章さんは「この2、3年の間に小田急は鉄道資産を使ったさまざまなツアーを展開してきたが、お客さまに喜んでもらう一方で、乗務員には負担をかけてしまうという課題があった。乗務員側と『ウィン・ウィン』になるような企画をやりたいと考えていた」と背景を説明する。

小田急 運転車両部新井氏
小田急電鉄の担当者、運転車両部の新井友章さん(記者撮影)

なぜ開成に泊まる?

今回のツアーでは、普段宿泊している乗務員には代わりに近くの「ホテルとざんコンフォート開成」に泊まってもらうことにした。「お客さまは小田急の施設、乗務員はホテルに泊まって、双方とも非日常感でワクワクしてもらえるのでは」と話す。乗務員にとっては、同僚に気を使わずに自由に使える浴室やテレビがあるホテルの客室に滞在することが快適かつ非日常体験になる、という狙いだ。

開成を選んだのは、施設が独立している、泊まる乗務員の数が少ない、徒歩圏内にホテルがある、足柄乗務所が近く人の手配がしやすい、といった条件がそろっていたためだ。宿泊体験のアイデアは、近畿日本鉄道が2023年夏に吉野線の大和上市駅で「駅業務体験と駅舎仮眠(宿泊)体験」を実施したのを見て「勉強させていただいた」という。

今回、日曜の朝9時過ぎに小田原駅で解散としたのは「小田原・箱根エリアを観光でまわってもらいたい」という思いもある。新井さんは「今回はトライアルだが、できれば毎週のように土曜日に実施したい」と話す。乗務員にも何らかのメリットがある企画は、これから増えていくかもしれない。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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