米国は、中国の南シナ海進出を止められない

アジアでのパワーバランスが激変

米国は、南シナ海における中国のこうした行為を止めることができないし、止めようとすべきではない。埋め立てを行う国はそうした施設の周りに500メートルの「安全地帯」を設定できる。それだけだ。

中国は、この地域において12カイリの領海や200カイリの排他的経済水域を主張できない。また防空識別圏や軍事的排他行為も設定できない。米国は、こうした施設から500メートル以内の区域に偵察機を飛ばして、これらを主張する権利がある。

軍事的カードは使用すべきではない

より広範な中国の領有権主張に関しても区別が必要だ。主張が「九段線」──南シナ海の約80%を擁し、中国の「歴史的な水域」とされる──に基づいている限り、国際社会は即座に拒否すべきである。国連海洋法条約(UNCLOS)だけが、排他的主張を可能にする枠組みだ。

一方、中国の主張が、スプラトリー諸島やパラセル(西沙)諸島などの特定の居住可能な島々を長く使用したり、占有したりしたことに基づく限り、同地域の他諸国以上ではないにしても、少なくとも同程度には受け止めなければならない。

この海域における航行の自由の問題については、「南シナ海のどこにおいても商業上の海運や航空便を妨害することはない」との中国の表明は信じるべきだ。が、中国が同国の領海から外へ広がる200カイリの排他的経済水域全体で、他国の軍艦や軍用機には偵察や諜報に従事する権利がないと主張している点で対立がある。この点が、軍事衝突が起きる持続的リスクにつながっている。

米国はこのことで中国を押し返してきた。これは正当化できる主張なのだが、抑制的であるべきだ。

米中関係、そして特に南シナ海のことに対処するには、とにかく当局の発言と行動をコントロール下に置く必要がある。もちろん超えてはならない一線を引く必要はあるが、賢明な指導者らは協調的な外交解決に焦点を合わせ、軍事的カードの使用は最小限にするべきだ。

週刊東洋経済2015年7月25日号

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