価格高騰で加速する工業製品の金(きん)離れ


 背景にあるのは、コスト意識だけではない。携帯電話などの小型化に伴い、半導体の微細化が進んだ事情もある。

これほど細くしたうえで、切れずにほどけるようにするには高度な技術が必要。が、「細さはすでに限界に近い」(田中電子工業ボンディングワイヤ製品部の秋元英行氏)。

こうした中で進むのが、銅などへの素材の置き換えだ。

銅は金に比べ、さびやすいなどの弱点があるが、何より安価が魅力。表面をパラジウムで覆うなどの技術開発も進み、普及が本格化している。田中電子工業では銅製ワイヤの増産に向け、今年度中に中国・杭州工場で生産を開始予定。シンガポール工場の生産能力も3倍に増強する。

競合する住友金属鉱山も銅製へのシフトで、金製の売り上げに影響が出始めており、「急ピッチで銅製ワイヤへのキャッチアップを図ろうとしている」(同社)。

ところが、銅製への置き換えによって、異業種の企業とぶつかる可能性もある。「すでに中国や台湾では、銅の電線メーカーがワイヤに参入している」(秋元氏)。

金価格の高騰は長引くとの見方もあり、金工業製品を扱う企業にとっては悩ましい日々が続きそうだ。

(許斐健太 =週刊東洋経済2011年9月24日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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