トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟
アメリカは和平交渉で「公平な仲介者」を自任してきました。しかし国際社会はそうは見ていません。アメリカはイスラエルを特別扱いしている、と批判されてきました。イスラエル建国から20世紀末まで、アメリカの対外援助の約6割がイスラエルへの軍事・経済支援に充てられました。
イスラエルは西岸で強圧的な占領政策を半世紀以上続けています。国連安全保障理事会には占領や入植地拡大を非難する決議がたびたび提出されます。しかし安保理の常任理事国アメリカは頻繁に拒否権を行使し、イスラエルを国際社会からの法的な非難や経済制裁から守ってきました。イスラエルはアメリカ外交の中で特別な地位を占めてきました。
核兵器保有を黙認するアメリカの二重基準
アメリカのイスラエルへの特別扱いは核兵器の不拡散政策において最も著しい、といえます。核不拡散条約(NPT)は1968年、米ソ2超大国が協力して成立し、国際法としては異例の実効性を保ってきました。米中露英仏という大国の利害が、核兵器不拡散では一致しているからです。この5か国はNPTの合法的な核兵器保有国で、安保理の常任理事国でもあります。
アメリカのブッシュ(子)政権(共和党)は2003年、イラクの大量破壊兵器(WMD)保有疑惑などを理由にイラクに侵攻し、フセイン政権を崩壊させました。アメリカはイランの核開発計画にも一貫して厳しい姿勢で臨んできました。でも核兵器保有が「公然の秘密」とされるイスラエルへの対応はまったく異なります。
イスラエルは核兵器の保有を肯定も否定もしない「あいまい戦略」「不透明政策」を半世紀以上続けています。私は共同通信のエルサレム支局長だったころにラビン、ペレス、ネタニヤフという3人のイスラエル首相にそれぞれ直接、核兵器保有の有無を問いただしました。3人の首相からは、「イスラエルは中東に核兵器を持ち込む最初の国には決してならない」という公式見解が判で押したように返ってきただけでした。
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