「空気を読む」は「考えない」につながる愚行だ 危険!「思考逃避」という落とし穴(上)

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再現性の高い仕事、すなわち繰り返し作業で、特に創意工夫の必要がなく、毎回間違いなくこなすことが重要な仕事をする組織は、「手続き重視」思考に陥りがちです。より経験を積んだ上司から言われるままに、与えられた範囲の仕事を黙々とこなすことが大切とされます。

言われたことを言われたようにやるだけであれば、その実行の帰結に対しての責任も回避することができます。「これは言われてやりました、自分としては知りませんでした」というわけです。

このように、手続き重視の組織においては、その業務範囲が明確に決められていて、それ以外に関しては「知らなかった」ということで免責になります。したがって、あえて視野を広げたり意見を言ったりすることは、マイナスになるという意識が強くなりがちです。この場合、むしろ余計なことは知らないほうがよい、ということにもなります。思考逃避は、このような意識から生まれてしまいます。

21世紀は「答えのない時代」

――再現性が高い仕事に従事しているのであれば、それでも問題ないかと思いますが……?

新刊の監修をした大前研一・BBT大学学長も書籍の中で述べていますが、21世紀は紛れもなく「答えのない時代」です。環境が永続的に変わらなければそれでもいいでしょうが、「答えのない時代」に、いつまでも繰り返しの定型業務だけでうまくいく組織などあるはずがありません。どこかのタイミングで、必ず環境変化に対応した創意工夫が必要になります。

日頃から思考のトレーニングを積んでいないと、そのときになって慌てても手遅れになってしまいます。仕事を「自分ごと」ととらえ、「これは言われてやりました、自分としては知りませんでした」などと責任逃れをすることがないよう、日頃から注意する必要があるのです。

宇田 左近 ビジネス・ブレークスルー大学経営学部長

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うだ さこん / Uda Sakon

株式会社ビジネス・ブレークスルー取締役、株式会社荏原製作所取締役、原子力損害賠償・廃炉等支援機構参与(東京電力調達委員会委員長)、公益財団法人日米医学医療交流財団理事。東京大学工学部建築学科卒業、同工学系研究科修士課程修了(工学修士)。シカゴ大学経営大学院修了(MBA)。
マッキンゼー・アンド・カンパニー等を経て現職。インフラ系企業の企業変革、および金融機関の企業変革・組織改革に従事。また医療機関における医療経営革新を継続的に支援。東京電力福島原子力発電所事故調査委員会調査統括等を歴任。

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