「通勤がつらい」会社からの独立目指す人の"盲点" 法的な「労働者」として扱われないこれだけのリスク

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Kさんは、システムエンジニアという比較的自己の裁量をもって働ける職種であり、場所も時間も拘束を受けることなく自由に働いていたことなどから、労働者性についてはかなり低そうに見えますが、労働者、つまり会社員として働いていたときと働き方がほとんど変わらないのに契約だけフリーランスになっているような場合は、それを提案した会社側の対応が乱雑です。もし、労働者を業務委託などのフリーランスに切り替えることを検討する際は、きちんと両者の違いを理解したうえで、現実的に働かせ方が可能か十分検討する必要があります。

2024年11月からフリーランス新法が施行

なお、フリーランスは、どうしても労働者と比べて立場が弱いです。そのため、取引条件が十分に明記されていなかったり、報酬の支払いの遅れや一方的な減額がされる等のトラブルも増えていました。そのため、2024年11月からフリーランス新法が施行され、書面等での契約内容の明示、報酬の支払い等のルール、就業環境の整備、契約解除の予告など法令によりフリーランスの保護が図られることになっています。

2.フリーランスは失業保険もない

フリーランスは労働者でない以上、雇用保険に加入できません。雇用保険はあくまでも労働者が失業したときや育児休業等で休業した際の所得保障です。そのため、Kさんのケースでいうと、会社を退職した時点で、雇用保険の被保険者ではなくなります。

ちなみに失業給付は、退職日の翌日から原則1年以内に受給する必要があります。そのため、Kさんが会社からフリーランスとしての契約を解除されたのが、仮に退職日の翌日から1年以内であれば、労働者として雇用保険に加入していた期間に対する失業給付を受給することも可能でしたが、Kさんのケースは退職してからすでに1年以上を経過しているため、失業給付も受給できません。

3.フリーランスは原則国保、国年に加入

労働者が加入する健康保険、厚生年金保険といったいわゆる社会保険についても同様に、フリーランスとなれば加入できません。そのため、原則国保、国民年金に加入することになります。

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