ケニアに学びたい、一歩進んだ「性教育」 布ナプキンを男女一緒に作る意味
「地元の文化や主体性を尊重しつつ、男女一緒に学び、参加できるプロジェクトが実現したことに意味があります」とHANDSプログラム・オフィサーでケニアプロジェクト・マネジャーの北島慶子さんは言います。援助する側の理想を押しつけないことに配慮しています。ケニア農村部の子どもたちにとって、紙ナプキンは高価なもの。「ナプキン欲しさに売春させられた女の子もいるほどです」。もし、妊娠してしまっても、農村部では訴訟など起こすことは現実的ではありません。
女の子たちの置かれた実状を見て、持続可能な解決策を考えたら、布ナプキンを作ること、男女生徒が一緒に取り組むこと、そして地域の人も参加することが効果的とわかってきました。
学校を休む女の子たち、将来に影響も
生理ナプキンが手に入りにくい農村部では、女の子たちが生理の間、学校を休むことも多くなります。毎月3日以上休んでしまうと勉強がわからなくなり、将来に悪影響をもたらします。また、適切な処置ができないまま、生理中に登校すると、男の子にからかわれることもありました。生徒が男女一緒に布ナプキン作りに取り組むことで、男の子は女の子の体の仕組みを知り、それは、からかう対象ではない、と理解するようになったそうです。
実際、生徒たちは真面目に勉強するのと同じ表情で布ナプキン作りに取り組んでいて、恥ずかしがったり、からかったりする言動は見られませんでした。
この布ナプキン講習会では、布ナプキンの洗い方、干し方なども併せて教えることで、衛生教育も行っています。
この日、部屋には子どもたちだけでなく、地域住民の姿もありました。コミュニティ・ヘルス・ボランティアと呼ばれる大人たちが約20名。こちらも男女混じっています。
地域の大人が男女一緒に参加することで、健康状態や家庭内の夫婦関係の改善にも役立つと言います。「ここで習っておくことで、妻が紙ナプキンを買うおカネを欲しい、と言った時、夫がその意味を理解できます」(校長先生)
子どもだけでなく、大人も。女の子だけでなく男の子も、女の人も、男の人も。要するに地域で一緒に公衆衛生や健康の知識を学ぶ機会を、学校とHANDSが協力して提供しているのです。布ナプキン講習会の際は「ヘルストーク」と呼ばれる健康管理に関する話を聞きます。たとえば「手洗いの習慣」を子どもと地域の人に同時に伝え「家でも手を洗うことを実践すると、下痢症などで休む子どもが減ります」(北島さん)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら