工学系出身者が「先進国最低レベル」日本の"暗雲" エンジニアを育てられない国が抱える大問題

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しかし中小企業では、スキルの高いエンジニア経験者が望む給与や待遇を用意するのはなかなか難しく、給与や待遇の条件面で大企業や外資系企業などの競合他社に負けてしまう場面が多く見られます。

同時に中小企業においては、経営層がエンジニア採用の難易度を十分に理解していないため、雇用条件の改善が進まないという問題も見られます。

日本の企業にとって非常に深刻

こうした状況は、日本の企業にとって非常に深刻です。

優秀なエンジニアが獲得しにくい状況で、エンジニア不足は今後も深刻化すると考えられますが、今こそエンジニアの採用戦略を見直し、給与水準や待遇条件の改善、教育体制の強化など、より競争力のある採用手法への転換が求められているのです。

さらに、せっかく採用したエンジニアの流出という問題もあります。

実際に日本の企業では、新卒で入社して企業によって育成された優秀なエンジニアが、3年程度の在籍後にメガベンチャーや外資系IT企業に移るケースも少なくありません。

メガベンチャーとは、ベンチャーが成長して大きくなった企業を指し、日本ではLINEヤフー(Yahoo、LINE、PayPay、ZOZOTOWNの運営元)や楽天、サイバーエージェント、GMOインターネット、DeNA(ディー・エヌ・エー)などが代表例といえます。

ベンチャーの雰囲気で仕事ができる、そのうえ給与面も高く福利厚生も充実している、さらにブランド価値もある……というので、特に若いエンジニアに人気です。これによって、強い企業だけが優秀な人材を独占するという構造が生まれています。中小企業やスタートアップが優秀な人材を確保できないのには、こうした背景もあるのです。

また、IT業界における外資系企業への「移籍」も増加しています。とりわけ高給である、外資系コンサルティングファームへの人材流入が目立ちます。

たとえば、ある外資の大手ITコンサルタント会社では、毎月100人規模の中途採用を行っているともいわれています。ピーク時は年間で約1500人程度の社員増加があったというのは、その人気の高さを物語っています。

リクルートキャリアが2017年に発表した調査では、国内全体の転職求人倍率が1.90倍であるのに対し、外資企業が多いとされるコンサルティングファームでは6.17倍にも上ると報告されています。

IT業界は売り手市場であるため、待遇や条件がよいのが一因と考えられますが、優秀なITエンジニアはどんどん外資企業へ転職してしまう恐れがあります。

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