日本にじわじわ侵食「中国系チェーン店」驚く実態 一見するとわからない、カフェやバーが増える
Helen’s barにとってコロナ禍は未曽有の試練だった。2020年末から2021年末までの1年間で店舗を431店舗増やし、2022年には859店を展開するまでになった。日本では感染者が高止まりし、酒類の提供を伴う飲食店の営業が制限された時期だが、中国は「ゼロコロナ政策」によって、感染拡大を封じ込めていた。
ところが2022年に入ると中国でもクラスターが相次ぎ、店舗だけでなく市民生活も麻痺した。Helen’s barはそれまでの急拡大路線が裏目に出て、2022年に2億4100万元(約53億円)の最終赤字を計上した。その後は不採算店の撤退を進め、2023年末の店舗数は479に減った。
2022年末にゼロコロナ政策が解除され、Helen’s barの業績も回復に向かった。とはいえ、コロナ禍の大打撃に加え最近の景気減速で、同社は中国だけで事業を拡大することの危険を痛感したようだ。2023年の業績報告書には「当社の主要な事業資産は中国に所在しており、中国政府の政治・経済政策が当社の事業および財務に影響を及ぼす可能性がある」と記載した。
2023年に入ると国内の新規出店はフランチャイズ中心に切り替え(コロナ禍前は原則直営店だった)、同年前半にはシンガポールに海外初めての店舗を出店した。
高田馬場や池袋ではなく「渋谷」を選んだワケ
2カ国目には在日中国人だけでなく訪日中国人旅行者の訪問を見込める日本を選んだ。ドリンクが中国の店舗ほど低価格ではなく「近隣の相場より少し安い程度」(同社)だが、今後ミルクビールや果実酒など”自社商品を充実させるという。
中国の外食企業は、ガチ中華が集積する池袋か日本語学校や中国人向け予備校が連なる高田馬場を日本進出の皮切りにすることが多いが、Helen’s barは日本人の若者もターゲットにし、渋谷に1号店を出した。
コロナ禍でスマホ注文が浸透したことで、中国人スタッフだけでも日本人客に対応しやすくなった。今後“ガチ中華”が集積する池袋に2号店を出店し、日本で50店舗の展開を目標にしている。
同社は海外展開を加速するため、6月末にシンガポール取引所に上場を申請した。今後インドネシア、ベトナムでの出店を検討しているという。
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