湯島の「まるでガウディなマンション」圧巻の内部 気になる間取りは?立地とも関係する外観

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この集合住宅の名前は「天神町place」。地下1階地上8階建てで、35の住戸を有している。2023年8月に完成し、徐々に入居が始まっている。

設計したのは、集合住宅を中心に、オフィスや大規模施設を手がけ、グッドデザイン賞や住宅建築賞などさまざまな賞を受賞してきた伊藤博之建築設計事務所だ。天神町placeも「みんなの建築大賞2024」で推薦委員会ベスト1に選ばれ、業界内外から注目を集めている。

天神町placeは、一見細長い形状の建物だが、建物の中央がぽっかり空いた馬蹄形である。建物の奥に進むと、傾斜を下るように袋状に敷地が広がる構造だ。

湯島 天神町place ガウディ
上空から見た天神町place。3方を高いビルに囲まれていることがわかる(写真:西川公朗)
湯島 天神町place ガウディ
斜め上空から見た天神町place。建物の曲線も美しい(写真:西川公朗)

なぜこのような不思議な形をしているのだろうか。そこには、特殊な立地にくわえ、湯島の地形とまちの歴史も関係していた。

ホテル街だった湯島の歴史とも関係

本郷台地のきわに位置する湯島。坂や階段が多く、台地と低地を抱えたまちである。湯島には湯島聖堂や湯島天神があり、古くから学問の文化が根づいている。一方で湯島天神の門前は、江戸時代に盛り場としても繁栄。文京区の郷土史などによると、置屋や待合、男色専門の男娼を置いた陰間茶屋などディープな歴史もあった。

その後は名残を受け継ぎ、料亭や旅館、ビジネスホテル、ラブホテルが並んでいた。近年、ホテルは数を減らし、歩くと新築のマンションが目に入る。

天神町placeも、もともとはホテルが建っていたが、賃貸住宅への事業転換によって建て替えることに。オーナーは、以前もホテルから賃貸住宅への建て替えで代表の伊藤博之氏に依頼した経緯があり、2軒目として再度設計を依頼した。

とはいえ、土地は傾斜して高低差があり、高いビルやマンションが囲む旗竿地。光や風は入りにくく、賃貸住宅を建てるには厳しい条件が多い。

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