吉野家は「利益6割減」から巻き返せるのか

牛肉関連が大打撃、注目ポイントは2つ

昨年末の取材で河村社長は「値上げの3カ月後には影響が緩やかになる」と話していた(撮影:尾形文繁)

吉野家は、一定量の牛肉在庫を確保したうえで事業を運営している。この第1四半期に吉野家が使った牛肉は、まさに価格が高騰していた昨秋に仕入れた肉だったため、利益の圧迫につながった。

ここに前述した客数減が重なり、国内吉野家の部門利益は前年同期の8.7億円から5.2億円に低下。ステーキ事業も牛肉価格の高騰が重荷となり、増収減益となった。

では、今後の吉野家HDの業績はどうなるのか。注視すべきポイントは、牛肉価格の動向だ。昨年9月に1000円を超えた米国産ショートプレートの価格は、実は今年に入って下落傾向に転じている。

農畜産業振興機構の調査によると、今年4月は1キログラム当たり756円、5月には同697円まで下がったという。昨年末から中国で米国産牛肉の輸入規制が厳しくなったことで、日本国内への流入量が増加。牛肉価格の下落につながった。

会社側が公表している2015年度の業績見通しは、売上高が1850億円(前期比2.8%増)、営業利益が30億円(同14.7%減)。この計画は、ショートプレートの価格が昨秋同様、1000円程度で推移することを前提に立てられたものだ。

つまり、足元の牛肉価格の下落が反映されていけば、年度後半にかけて利益の上振れが予想される。こうした点を踏まえると、会社側が公表している今期の業績見通しは、期初時点に比べるとハードルが下がっているようにみえる。

楽観できない客数の動向

とはいえ、楽観できない面があるのも事実だ。

1つは、吉野家の客数回復が遅れていること。「ちょい飲み」の場を提供するための夜間業態である「吉吞み」を6月末までに360店で展開したほか、5月には健康を打ち出したメニューとして野菜が多く入った「ベジ丼」を販売した。ただ、いずれの施策も客数減のトレンドを変えるまでには至っていない。このまま売り上げが落ち続ければ、食材高が一服したとしても利益の回復は鈍くなってしまう。

もう1つは、ステーキのどんや「フォルクス」といったステーキ業態における値上げの影響だ。両ブランドとも牛肉価格の高騰を理由に、今年3月に値上げを実施。値上げ直後は価格改定に気づいていない客もいたようだが、固定客の中で値上げに対する負担感が増していけば、この先、リピート率が低下する可能性も否定できない。

牛丼とステーキ。食材高が和らぐという恩恵の一方で、固定客のリピート率向上や新規客の獲得につながるような新商品やマーケティング戦略を打てるかが、今後の吉野家HDの業績を左右しそうだ。

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