さらに2022年10月、カナダ政府は外国資本による新規投資の阻止だけでなく、既存の契約も強制的に差し止められる法改正を実施。それに基づき、リチウムの開発権益を持つカナダ企業に出資していた中国企業3社に対して、資本の引き揚げを命じた。
カナダ産レアアースの購入を阻まれた盛和資源は、バイタル・メタルズの株式の9.9%の保有する筆頭株主だ。実は問題の購入契約は、盛和資源が2023年12月に590万オーストラリアドル(約6億1765万円)を投じてバイタル・メタルズの株式を取得した際、同時に合意したものだった。
採算取れず開発ストップ
注目すべきなのは、バイタル・メタルズのレアアース鉱山は事業性に問題を抱えており、これまでに何度も開発がストップしていたことだ。
同社の2023年の開示資料によれば、バイタル・メタルズはネチャラチョ鉱区のレアアースの採掘と選鉱に関するフィージビリティ・スタディを実施。その結果、「キャッシュフローの黒字化が見込めない」としてレアアース加工施設の建設を中断していた。
バイタル・メタルズが盛和資源の出資を受け入れ、レアアース在庫の売却契約を結んだのは、事業を継続するための資金繰りに窮し、外部の投資家にすがらざるをえない状況に追い込まれていたからなのだ。
(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は6月19日
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